原作は雫井脩介による日本の小説。
『別册文藝春秋』の2012年9月号から、2013年9月号まで連載され、2013年9月に文藝春秋から単行本が刊行。
(以下ネタバレを含みます)
感想
導入がわかりにくい
冒頭から中盤にかけての導入があまり上手ではなく、神経を研ぎ澄ましながら集中して見ていないとついていけない複雑怪奇な話なのか、と思いきや、実に単純明快な話であることが少しずつわかってくる。
であれば、最初から複雑に見せなくてもいいのに。編集が悪いのか。
ありえない結末
ようやく物語が見えてきて、話が盛り上がってきたところで、ありえない終わり方をする。これはひどいと思った。
主演の二人が喧嘩でもして「ここまでしか撮れませんでした」、ということなのかとさえ思った。でもジャニーズ同士でそれは考えられない。
原作では、最上が逮捕されるという。つまりオチがつくわけで、特に映像では、そこに至る直前がクライマックスになるはずだった。
どこか『3度目の殺人』のような演出を狙ったきらいもあるような気がする。さあ考えてください。レッツシンク。的な。
ちなみに、バスっと終わって、結末は自分で考えてください系で一番見事だったのは、野島伸司ドラマ『高校教師』。あれを超える結末はそうない。
とにかく本作は、全くもって納得できない終わり方だった。
木村拓哉の不遇
どうにも木村拓哉さんは、素晴らしい役者さんであるのに映画作品には恵まれない。
もしかしたら本作も、事務所サイドが木村拓哉の逮捕シーンを嫌がったのだろうか。
しかし本作では、もしかしたら初となる悪役であった。ものすごい陰険で陰湿な役などはNGなのだろうか。犯罪者役や、悪役なども、もっと見てみたい気はするが。
きっと、『オーシャンズ11』的な悪役(窃盗団)ならOKなんだろう。
観れる画力
とはいえ映画自体は、やはり観れる。
キムタクさんとジャニーズナンバーワン演技力を持つ二宮和也のダブル主演に、吉高由里子が華を添えるとなれば、どーあっても画が持つ。
そこに松重豊さんや八嶋智人さん、大倉孝二さんなど、どこか『HERO』を想起させるキャスティングもユニーク。
また、特に画の色味がすごくキレイで、これは素晴らしいと思った。
プロデューサーの責任か
編集と脚本。いや、構成か…。
原田監督は、『クライマーズ・ハイ』『突入せよ!あさま山荘事件』『日本のいちばん長い日』など素晴らしい作品が多いけど、これは残念だった。
このキャストでこの題材なら、監督が違ければ傑作になっていた可能性は十分あった。プロデューサーの問題ではないだろうか。
本作のプロデューサーは臼井央さん。『センセイ君主』『ラブプラスの魔女』『となりの怪物くん』などを手がけてこられている方。
とても優れた方なんだろうとは思うけど、やはり私は合わなそうである。
「検察側の罪人」評価
★★★★☆☆☆☆☆☆