2021年公開されたアメリカ映画。Netflixオリジナル。
あらすじ
舞台は1999年、世紀末のアメリカ。両親のいない12歳の少女ビバリーは、ある日地下室で、2歳の時に亡くなった母がつくったミックステープを見つける。
ビバリーは、このミックステープに入っている楽曲こそが両親のことを知る手がかりになると考え、収録されている曲を探し始める。
その中に、なぜか日本代表ブルーハーツの「リンダリンダ」も含まれていて…。
心温まるB級映画
97分の映画なので短いし、見やすい。
想像以上のことは起きないけど、想像以下のこともなく、安心して最後まで観れる映画。
青春と音楽を題材にした映画っては良い。『スクールオブロック』『ボブという名の猫』『イエスタデイ』など、青春とは違うのもあるけど。
80年代が舞台の作品は多いけど、90年代が舞台の映画も増えてきそうだな、という感じもした。
なぜブルーハーツが出てきたか
ビバリーが『リンダリンダ』を初めて聴く様子は、日本人にはグッとくるものがある。ここれは日本人にしか分からない感覚のはず。
ではなぜ、この映画にブルーハーツが出てきたのか。
- アメリカでもブルーハーツが一部ロックファンの間で認知されているから
- この母親がものすごくロックが好きだったことを示すために日本のロックバンドからも起用した
- リンダリンダズが話題になっていたから
おそらくは、2と3の組み合わせが正解ではないか。
3によって制作サイドがブルーハーツを知り、2の意味も込めて起用した。
リンダリンダズとは?
アメリカ、ロサンゼルス出身の4人組ガールズパンクバンド。全員アジア系&ラテン系の血を引く。
平均年齢16歳、下は13歳、上は19歳。※2024年2月現在
2018年結成。話題になったのは2021年。
リンダリンダズがロサンゼルスの公共図書館でやったLIVE映像がYouTubeやインスタでバズって有名になり、
元レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーも絶賛した。
メンバー最年少のドラムの子は同級生の男の子に「中国人には近づくなと親から言われた」と話し「私中国系だよ」といったら彼は離れていったという。
その体験を元に作ったのが「Racist, Sexist Boy!」という、アジア差別に対するメッセージソング。
バンド名の由来
彼女らのバンド名の由来は、日本の映画『リンダリンダリンダ』から。
山下敦弘監督による、4人の女子高校生がTHE BLUE HEARTS の曲をカバーして学園祭でLIVEをするまでを描いた2005年の映画。
ちなみにこの映画でボーカル役を演じたのが、のちに是枝監督と『空気人形』『ベイビーブローカー』などでもタッグを組むことになる韓国の女優、ペ・ドゥナ。
話を戻して、リンダリンダズのインタビューを抜粋すると、
たまたま家にあの映画のDVDが転がっていて、みんなでバンド名を考えていた頃に、「こんな映画がある! しかもタイトルが最高にかっこいい! しかもブルーハーツというバンドの曲が由来になっているなんて! なんてクールなの!」ってなったの。
全てにおいて、みんなが納得する名前だったわけ。
映画のストーリーも凄くよかった。日本語を話さない一人の生徒と、韓国語を話さない女子高生達がいきなりバンドを始めようって。音楽が言葉の壁を超えて人を結びつける。何もないところから、「この曲をやってみよう」って彼女達が思い立ってバンドを始めるのを観て、凄く共感できた。状況は全く同じというわけじゃないけど、自分達とも似ているところがあると思った。
彼女たちは2022年のサマソニに出演して、『リンダリンダ』のカバーを日本語でやってて日本のオーディエンスを湧かせた。
この2022サマソニには、クロマニヨンズも出てたという。
映画『ミックステープ-伝えられずにいたこと-」のミックステープにブルーハーツの『リンダリンダ』が登場したのは、リンダリンダズがアメリカで話題になったからではないか、という考察でした。