もし、この中に見たことがないものがあれば、見て損はないと思う。
もちろん、好みもあるし、観たときの時代背景もある。
なので、日本ドラマ史に与えた影響も加味しながらランキング形式で紹介する。
10位『それが答えだ!』97'
あらすじ
世界的なマエストロが、あまりに傲慢な態度からオーケストラからボイコットされ、それをを機に音楽業界から追放。やがて臨時教師として赴任した田舎町の中学校で、生徒たちとの交流を通じ、少しずつ人の心を取り戻していくという、どこか『グランメゾン東京』とも似た構成だ。
視聴率
平均視聴率 12.3%
最高視聴率 13.9%(最終回)
天才・三上博史の完成形
日本ドラマ史を語る上で欠かすことができない存在が三上博史。
昭和のトレンディ俳優として語られがちだけど『あなただけ見えない(92')』で女性人格を含む三重人格という難しい役柄を演じきり、一気に他の役者たちを置き去りにした。
のちに『この世の果て(94')』で名実ともにその地位を確立した。
この『それが答えだ!』は、俳優・三上博史の完成形といえる作品。萩原聖人も良かったし、生徒役の深田恭子と藤原竜也も良かった。ちなみに、小栗旬も出てる。
『それが答えだ!』を動画で見る
調べた感じネットで見れない!DVDも出ていない!
噂では、番組に出演していた元ジャニーズJr.が逮捕されたからとかなんとか…『この世の果て』がフジテレビオンデマンドで見れるので、それを置いておく。
9位『ケイゾク』99'
あらすじ
迷宮入りした事件を担当する警視庁捜査一課弐係に配属された、東大卒のキャリア警察官僚・柴田純(中谷美紀)と、元公安の叩き上げ刑事・真山徹(渡部篤郎)が難事件を解決していくミステリードラマ。
視聴率
平均視聴率 13.9%
最高視聴率 15.7%(第五話)
日本のドラマ史を変えた堤幸彦演出
終始映像に漂う不穏な空気感や、その中に散りばめられるコミカルな描写など、演出家・堤幸彦が本作で見せた手法はこれまでのドラマのそれとはまるで違ったもので革新的だった。
のちに『池袋ウエストゲートパーク』でその独特な映像世界はさらに昇華し、また、『ケイゾク』のような男女ペアシリーズは『トリック』『SPEC』と継承されていく。
単純なおもしろさだけで見れば『トリック』のほうがエンターテイメントとしてはより完成しているが、やはりその幕開けとなった本作を推したい。
渡部篤郎という天才
三上博史の後に続ける人といえば、当時はこの人くらいしかいなかった。
渡部篤郎といえば『ストーカー~逃げ切れぬ愛~』で見せたストーカー役で、日本の女性たちを震撼させる名演技を見せた。
『ケイゾク』での渡部篤郎の演技は堤幸彦演出に完璧にハマるもので、この真山の演技に続くようなレベルのものは、のちの堤作品でもなかなか出てこない。
ちなみに、堤幸彦×渡部篤郎でいうと、『愛なんていらねえよ、夏』もオススメしておく。
『ケイゾク』を動画で見る
Amazon prime
8位『古畑任三郎』94'~
視聴率
平均視聴率 25.3%(シーズン2)
最高視聴率 34.4%(第24話「しばしの別れ」 山口智子)
日本ドラマの立役者
日本のドラマにもっとも貢献した人といえばこの人、田村正和。
『総理と呼ばないで』『オヤジぃ。』『さよなら小津先生』『協奏曲』と代表作は枚挙にいとまがない。
個人的に『オヤジぃ。』は結構好き。田村正和にガンガン絡むガングロの矢沢心や、加藤浩次もすごく良かった。
三谷幸喜の登場
脚本家、三谷幸喜の頭角は本作以前にあったものの、全国にその名を知らしめた出世作といえば、この作品だろう。
内容は『刑事コロンボ』のオマージュであるものの、そのスタイルを日本で完璧に成功させた。
「次は誰がゲストなのか」といったところも毎回視聴者を期待させた。
ベストバウト
個人的なベスト回を挙げておくと、シーズン1の「さよなら、DJ(桃井かおり)」、シーズン2「しゃべりすぎた男(明石家さんま)」「ニューヨークでの出来事(鈴木保奈美)」スペシャル「しばしのお別れ(山口智子)」ファイナル「今、甦る死(藤原竜也・石坂浩二)」。
全体を通してみると、シーズン2のクオリティが高く感じる。
他にも、古畑 vs SMAPや、vs イチローもおもしろい。
『古畑任三郎』を動画で見る
7位『人間・失格~たとえば僕が死んだら~』94'
あらすじ
裕福な家庭に育つ子供達が通う私立の名門男子校。勉強熱心な生徒が成績トップを競い合うが、その様子はややヒステリックであり、それぞれの生徒の内面の陰を感じさせる。最近では、校内で飼育しているウサギが、血を抜かれて惨殺されるという陰惨な事件も起きていた。大場家はラーメン屋「なにわ亭」を開業し、この名門男子校に通うため、神戸から東京に引越しをしてきた所から話ははじまる。
視聴率
平均視聴率 19.2%
最高視聴率 29.9%(最終回)
脚本家・野島伸司天才期
野島伸司作品は、91年の『101回目のプロポーズ』に始まり、『愛という名のもとに』『高校教師』『ひとつ屋根の下』『この世の果て』『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』『未成年』『ひとつ屋根の下2』『聖者の行進』『世紀末の詩』まで天才期が続く。こんな立て続けにヒットを出した人はそういない。
『世紀末の詩』においては、天才脚本家がたどり着いた境地みたいなものさえ感じる。
抗議殺到
いじめという、誰もがが抱える永遠のテーマを、ここまでむき出しに描いたドラマはない。
また、ジャニーズであるKinKi Kidsにここまで重たい主演を託したあたりや、加勢大周という当時の正統派イケメンを最悪の役に仕立て上げるなど、このドラマがおこなったチャレンジは相当大きい。
いじめの描写などもかなり悪質かつ過激で、TBSには毎週クレームが殺到していたという。
『人間・失格~たとえばぼくが死んだら~』を動画で見る
↓動画配信はいまのところないので、DVDで見るしかない模様。
ジャニーズを起用すると、こういうときにちょっと大変っぽいね。。
6位『ドクターX』12'~
視聴率
平均視聴率 23.0%
最高視聴率 27.4%(シーズン3最終回)
シーズン6まで高視聴率
時代のタイムリーさを取り入れるフットワークの軽さや、初期メンバーからほとんど変わらないチームワークの良さ、また、これだけ多くの有名人が出演しているにも関わらず不祥事を起こした人がほとんどいないという引きの強さ。
まるでドラマの神様がついているかのような強さである。
米倉涼子当たり役
ここまで当たりすぎてしまうと、他のドラマへの出演が難しくなる。
実際、『リーガルV』(18')は数字こそ良かったが、大門未知子感がいったりきたりしていて、とても見づらく感じてしまった。
堺雅人が『半沢直樹』にすぐに応じなかったのは、そういう経緯もあるのかもしれない。
※そもそも続編がすぐに計画されたかどうかも不明
『Doctor X』を動画で見る
Amazonプライム・ビデオで視聴可能。
5位『家政婦のミタ』11'
あらすじ
母親の死により崩壊寸前の阿須田家に、三田という家政婦が派遣されてくる。
仕事は全て完璧にこなすが、常に無表情かつ機械的で、さらに命令されれば犯罪行為も平然と行う家政婦の三田に、阿須田家の人々は振り回される。
視聴率
平均視聴率 25.2%
最高視聴率 40.0%(最終回)
※40.0%は日本ドラマ歴代5位
テレビ不況時代の寵児
いよいよテレビ時代も終わりかと囁かれ始めていた2011年代に、40%超えを叩き出した奇跡のドラマ。
平均視聴率も25.2%と、当時のあらゆる記録を塗り替えた。
題材も、恋愛ものでも医療ものでもなく、家政婦が主演という設定であり、また、市原悦子さんの代表作『家政婦は見た』へのタイトルオマージュも話題になった。
東日本大震災の年
『家政婦のミタ』は2011年3月11日に起きた東日本大震災の約7ヶ月後である10月よりスタートした。
どこか喪失感さえあった当時の日本人に、無機質なミタが人間の心を取り戻していく最終回には誰もが心を奪われた。
『家政婦のミタ』を動画で観る
4位『未成年』95'
あらすじ
高校3年生の戸川博人(ヒロ)は同級生で野球部員の田辺順平、中学時代の同級生で暴力団構成員の坂詰五郎とバカをやったり、アルバイトで日々を過ごしているが、出来のいい兄・辰巳にコンプレックスを抱き、何事も無気力で卒業後の進路も決まっていない。
しかし、ある日ひょんな事から知的障害を患う室岡仁(デク)、有名進学校に通う神谷勤と出会い、友人となるが彼らもそれぞれ悩みを抱えていた。
博人は女子大生の新村萌香と出会い、好意を抱くが彼女は兄の恋人で重い病を抱えており、順平は同級生の安西加代子に片思いをしているが、当の加代子は博人の事が好きで、五郎は恋人のアリサの為に堅気になる事を考え、デクは家庭で疎まれている、一見恵まれていそうな勤も受験勉強のストレスや母の過保護、有名女子校に通う令嬢・田畑瞳に片思いをするが彼女は家庭教師の子を身ごもっていた。
そんな彼らの抱える悩みや様々な事情が引き金となり、彼らは重大な事件を起こしてしまい社会の注目を集める。
視聴率
平均視聴率 20.1%
最高視聴率 23.2% (第八話)
時代を切り取る野島伸司作品
TBS野島三部作といわれる『高校教師』『人間・失格』に続く『未成年』。
後にも先にも、このドラマを越える青春ドラマはない。
時代の切り取り方がいつも少し先を行っていて、そのバランスが毎回見事だった。先に行き過ぎてもダメだし、古くてもダメだし。
浜崎あゆみも
本作には歌で頭角を現す前の浜崎あゆみが出演している。
まさに美少女といった感じで、演技も結構良かった。このまま女優業といった道もあったと思うが、、、
『未成年』を動画で観る
ジャニーズがいるとやはり動画配信はダメっぽい。
なのでDVD-BOXを紹介しておく。
3位『101回目のプロポーズ』91'
あらすじ
建築会社の万年係長・達郎(武田鉄矢)は、真面目が取柄の中年サラリーマン。99回の見合いで断られ続け、すっかり自信を失っている達郎に100回目の見合話が舞い込む。相手はチェロ奏者の薫(浅野温子)。そんな彼女に当然のように断られた達郎だが、どうしても諦めきれずに、猛烈なアタックを開始した。始めは戸惑っていた薫だが、達郎の純粋な心に触れ、次第に心を開いていく。
視聴率
平均視聴率 23.6%
最高視聴率 36.7%(最終回)
※36.7%は日本ドラマ歴代14位
俳優・武田鉄矢
海援隊であり、これほど金八先生のイメージが強いのに、それを見事に覆せるバイタリティは本当にすごい。
俳優としての武田鉄矢は、映画『幸福の黄色いハンカチ』に始まり『刑事物語』シリーズでも顕著であるが、ドラマ『BOSS』で見せた爆弾犯の怪演や、NHKドラマ『リミット-刑事の現場2』の凶暴な刑事役も素晴らしかった。「お前に人権なんかねえ!」は今見ても震えるほどすごいし、ここは名シーンとして語り草となる。
社会現象となった名ドラマ
主題歌のCHAGE and ASKA『SAY YES』は300万枚ヒットとなり、平均視聴率は23.6%、最終回では36.7%と大ブームとなったが、まだまだドラマが見られていた時代にこの数字なので、『家政婦のミタ』がいかに快挙だったかがわかる。
『101回目のプロポーズ』を動画で観る
フジテレビ・オン・デマンドで視聴可能。
2位『半沢直樹』13'
視聴率
平均視聴率 28.7%
最高視聴率 42.2%(最終回)
※42.2%は日本ドラマ歴代3位
常識を覆した作品
恋愛要素ゼロ、女性キャストも少なく、ドラマを見る層といわれていたF1層(20~34歳の女性)を無視し、働く大人の男をターゲットにしたドラマで平均視聴率 28.7%、最終回は42.2%という、それまでのあらゆる常識を覆した。
『家政婦のミタ』以降、もうこんなヒットは当分出ないだろうと言われていた中での大ヒットで、まさに全てに倍返しを食らわした作品。
2020年続編決定
2020年の1月に、吉沢亮によるエピソードゼロが放送されるがこれは期待していない。
※訂正 : おもしろかった
4月から予定されていたシーズン2は7月19日から放送決定!
『半沢直樹』を動画で観る
動画配信は見つからなかったが、これはもうBlu-rayで持っておくべき。
私は当然所有している。
1位『白い巨塔』03'
視聴率
平均視聴率 23.9%
最高視聴率 32.1%(最終回)
小説家・山崎豊子
膨大な取材を元に作られる山崎豊子作品の映像化は、他にも『華麗なる一族』『不毛地帯』『二つの祖国』『沈まぬ太陽』『運命の人』など、どれもハズレなし。
その中でも、何度もドラマ化された『白い巨塔』は圧倒的な輝きを放っている。
白い巨塔の魅力
この作品のテーマは医療というより、「生と死」だ。
全ての人がいつか必ず迎える「死」をまざまざと突きつけられながらも、その手前で権力や地位にしがみつく人間たちを我々はどう見るべきか。
田宮二郎と唐沢寿明
67年、78年、90年、03年、19年とあり、『白い巨塔』といえば78年田宮二郎版と、03年の唐沢寿明版の2つが想起されるが、やはり03年版を推したい。2クールでありながら、平均視聴率23.9%、最終回は32.1%を記録。
19年版の岡田准一版は、山崎豊子さんがご存命でいらしたら、絶対にGOは出ていなかったと思う。
『白い巨塔 2003』を動画で観る
フジテレビ・オン・デマンドで視聴可能。