まずはこちらの記事を。
- 第一話、二話、三話の視聴率・感想
- 新たな財前五郎、里見脩二
- 満島真之介という神俳優
- 「白い巨塔」まとめみたいなドラマ
- それでも山崎豊子
- 岡田准一は非難されるべきか否か
- 重厚になりつつあるBGM…しかし
- 半端ない制作陣だった2003年版
- 「白い巨塔2019」第四夜視聴率
- 今見るならこれ!
第一話、二話、三話の視聴率・感想
第一話、二話、三話の感想はこちら。
sagitani-eiga.hatenablog.comsagitani-eiga.hatenablog.com
新たな財前五郎、里見脩二
本作での財前五郎は見た目だけでなく器も小さな財前五郎となった。
ニタニタと柳原を取り込もうとするあたりは、新たな財前五郎像の創出に成功している。
ただ、いささか舞台のような台詞回しはやっぱり気になる。
松山ケンイチは完全に新たな里見脩二をものにしている。とにかくブレることなく現代の里見先生を掌握していた。
満島真之介という神俳優
満島DNA炸裂。
満島ひかりしかり、なんでこんなうまいんだろう、この一族は。
柳原の満島真之介は、2003年版の伊藤英明越えもありうる。
「白い巨塔」まとめみたいなドラマ
3分でわかる~、猿でもわかる~、といった、まとめ的手法、または、小説を漫画で伝える手法、本作はそんな印象を受ける。
つまりは、「白い巨塔まとめ」。
半年間を通し、21話あった2003年版を、5夜連続だけで伝えきることはできるはずがないわけで、とにかく端的に「白い巨塔」が持つ魅力をまとめていくしかない。
関口弁護士(斎藤工)にせよ、東佐枝子にせよ、本当はもっといろいろあるのにというのは2003年版ファンにはツッコミどころ満載ではあるが、これは5夜連続という前提を考えれば仕方がない。
それでも山崎豊子
田宮二郎版、唐沢寿明版のファンでも、三話目、四話目からは落ち着いて見れてきていると思う。
やはりそれは、山崎豊子さんの力であると感じる。
誰がどのように映像化しても、見るものを惹きつけてしまうのは、やはり原作の持つ力であると感じざるを得ない。
岡田准一は非難されるべきか否か
岡田准一の財前五郎は確かに批判されている。ミスキャストだなんだと、ここぞとばかりに。
唐沢寿明さんと比較すれば当然の結果である。
前回も書いたが、財前五郎役をやる以上は非難の対象になることは避けれない。唐沢寿明さんも非難はされたが、見事な演技で聴衆を黙らせた。
しかし、岡田准一にはそれができなかった。
でも、それでこそ俳優だと思う。
ではこの5夜連続というフォーマットで、誰が財前五郎役をできるだろう。勝てない戦はしないほうがいい。辞退したほうが懸命だ。
個人的には、この同じジャニーズなら、木村拓哉の兄貴が良かったのではないかと思う。
他で言うと…なかなか思い浮かばないのも確かだ。
非難があることは容易に想像できたはずだ。それでもこの大役を引き受けた岡田准一の役者根性は評価したい。
重厚になりつつあるBGM…しかし
三話目あたりから急激にBGMが重厚になりつつある。
全体的に『アウトレイジ・ビヨンド』と『バッファロー66』を感じる音になった。
世間の反応を見て急遽差し替えた…とは考えにくいが、こういったBGMにするなら、なぜ一話目二話目と、あんな軽薄なBGMをチョイスしてしまったんだろう。
いずれにせよ、BGMが安定したことで、ようやく落ち着いてみれるようにはなったが、2003年版にあった、感動要素がないのが惜しい。
それは、やはり『アメイジング・グレイス』に代表される、感動的な描写である。
重厚にはなったが、壮大さがまだないため、感動を享受できない。
白い巨塔は、単なる医療業界の出世争いを描いた作品ではない。人の命を扱う医師たちの葛藤と、生と死の間をえぐり取るリアリティなドキュメンタリードラマだ。
白い巨塔が持つ本来の壮大なテーマが顕れてこないのが惜しい。それは、BGMのチョイスでもう少しなんとかなったのではないかと思う。
半端ない制作陣だった2003年版
そもそも2003年版の音楽担当は加古隆さん。荘厳な音楽を扱わせたらピカイチの大先生だ。
本作の音楽は兼松衆という若い編曲家。若手採用という姿勢はいいし、かなり器用な人ではることには違いないが、さすがに『白い巨塔』は荷が重かったではないか。
そして2003年版の脚本はあの井上由美子さんだ。思えば2003年版の布陣は、半端ではなかった。
「白い巨塔2019」第四夜視聴率
13.5%。