2018年5月12日放送された「世にも奇妙な物語 2018春の特別編」。
勝手に、最優秀作品、主演男優賞、主演女優賞を決めてみる。
2018秋の特別編はこちら
(以下ネタバレを含みます)
感想(ネタバレ)
『フォロワー』
とりあえずTwitterを題材にしたかったってだけで、明らかに要素過多。
何をどう見せたかったのかさっぱり分からない。
フォロワーを増やすために躍起になる女の末路、という話でもないし、ネット上の希薄な関係性、という話でもないし、なんでもかんでもネットに上げる現代人、という話でもないし、またはこれら全部詰めこんだ、とも。
結局、『メリーさんの電話』的恐怖をTwitterでやりたかったんだと思うけど、まるでチクハグでむちゃくちゃだった。
白石麻衣の演技力はさておき、この子の目、これは実にホラー映画向きだ。
貞子が流行ってたあの時代なら相当な需要が期待できた。
『城後波駅』
近年始まったこのショートシリーズは面白い。
ただ今回のは、ショートっていうほど短くもなく、ここはもっと早いテンポ感がいい。
平均視聴率を上げるためにわざわざエンドロール後まで引っ張りたいのは分かるけど、なんともお粗末な内容。
2chの『きさらぎ駅』みたいなものをやりたかったのかなんなのか分からないけど、ひどかった。
『不倫警察』
せっかくカラフルなセットで特異な世界観出せてるのに、映像の質感がそれに合ってないため、凝ったセットや衣装が台無しに。
それに途中で気づいたのか、中盤からどんどん普通になっていった。
ただ、冒頭からTwitter、不倫と、現代を象徴するものをがっつりテーマにしていくこの「世にも奇妙スタンス」はさすが。
この話は唐沢寿明さんの演技力でなんとか持ってるけど、やっぱりストーリーが弱い。
不倫は悪と一方通行的に決めつけたその先にある人間的矛盾を、もっと深く描いて欲しかった。
ここまで、映画『サークル』同様、どうもキレが悪い。
最終的には、「世間なんて(実態もなにも)ない」ってところだったんだろうけど、ものすごく竜頭蛇尾だった。
また、時代のせいなのか、筧美和子の胸元やパンチラのカットも全くなく、不貞行為をしかけた、ということもいまいち伝わらない。
こういった必要悪ならぬ、必要エロもないから、どこにも入り込めない。
ここに表現の自由を奪われた自主規制時代を感じる。
ならいっそのこと、不倫ではなく、自主規制をテーマに挑んでみても良かった。
『明日へのワープ』
この辺からいつもの「世にも奇妙なクオリティ」に戻る。
ドラマとしてのクオリティがようやく担保されたため、ようやく見応えが出た。
28歳から43歳へのジャンプというのがものすごくリアルで良かったのと、いわゆる夢オチではあるんだけど、納得できる夢オチで、面白かった。
今の20代はこれ見てどう思うだろう。
近年の月9しかり、ネットやTwitterの動向を真に受けてそのまま作品化するプロデューサーが多いけど、もう少し自分の感性を優先してほしい。
世にも奇妙はこうでなくっちゃ。
『少年』
とにかく倉科カナとこの少年がいい。
コンビーネーションもいいし、映像の撮り方も演出も本も、ここで急激にクオリティが上昇する。
倉科カナはこの一編で本人や事務所が想像しえないほど株を上げた。
グラビアアイドル上がりでもここまで出来るからこそ、あの竹野内豊を落とせたんだろう。
グラビアアイドル出身最強は小池栄子に他ならないけど、バラエティはともかく、女優業としても十分いけそう。
あと、ラストシーンは風強くて撮影大変そうだった。
ちなみにこういった、前世を記憶したまま生を受けた子どもがいるという事例は世界中多数報告されている。
なので、もしかしたらこういったこともあり得るのかもしれない…
「世にも奇妙な物語 2018春の特別編」最優秀賞
最優秀作品 『少年』
最優秀主演男優賞 健太郎『少年』
最優秀主演女優賞 倉科カナ『少年』