鷺谷政明の神映画レビュー

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ドラマ「今日から俺は!!」全話視聴率と原作違いのひどいキャストランキング

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結局このドラマは、『勇者ヨシヒコ』シリーズを手がけた福田雄一という奇才に、変態的壊され方をしたドラマであった。

もともと福田さんは劇団の座長で、放送作家やバラエティ番組を手がけていた人なので、ドラマにバラエティの概念を入れるのが巧みな人。

そういった意味では、『今日から俺は!!』の演出・脚本に福田雄一さんを抜擢したことがかなりベストチョイスだったと思う。

『今日から俺は!!』全話視聴率

第1話 9.8% 
第2話 8.3%
第3話 8.9%
第4話 9.1%
第5話 9.8% 
第6話 9.4%
第7話 10.6%
第8話 9.4% 
第9話 10.8%
第10話 12.6%

日曜の22時30分という放送枠を考えると、この数字は異例中の異例。

『今日から俺は!!』人気の理由

大ゴケ予想もされていた本作だが、見事に覆した結果となった。

成功の理由は、誰とも戦わなかったところにある。

原作を忠実に再現する、原作ファン向けにするか、または、原作の設定だけ拝借し、全くの別物に作り変えて、あくまで新規ドラマ視聴者に向けて作るか。

このドラマはその両方を取った上に、福田雄一のエッセンスを十二分に加え、原作をきちんとなぞりながら、新規ドラマ視聴者に向けた楽しみやすさも考慮し、さらにそこに福田雄一の独創的な世界観でまとめあげた。

それがどう転ぶかは時の運。今回は世間がこの手法に完全に味方した。

おじさんの回顧録的な支持を受けると思いきや、意外にもこのドラマは若い視聴者からの支持が強く、なんとも、ヒットするものは一概に語れないと痛感させられた作品であった。

『今日から俺は!!』原作ファンも納得キャストランキング 

1位 伊藤真司(伊藤健太郎)

一番原作に忠実にはまってたのは伊藤真司。

佇まいからケンカの仕方からかなり原作に近い

ただ、伊藤真司は結構やりやすい役でもある。

2位 佐川直也(柾木玲弥)

原作ファンなら分かるが、ドラマ上はあまり注目されてなかったものの、佐川のポジションは、原作においても作品を盛り上げる大事な役どころ。

地味に佐川役がかなり原作に近かった。

ちなみに、ドラマには出てこなかったが、のちにションベン小僧、榊原雄一も佐川に近いポジションになる。

3位 片桐智司(鈴木伸之)

伊藤と同じで智司も結構やりやすい役ではあったが、目つき、がたい、立ち振る舞いと、なかなか原作に近い凄みがあった。

とはいえ、原作では智司は後半ちょっとライトな一面も出てくるが、そうなってきたとき、どこまでこの俳優が演じられたかは微妙。

4位 三橋愛美(瀬奈じゅん)

三橋のかーちゃん。

このドラマはかなり大人がやりたい放題で、理子のとーちゃんも見た目は近いものの佐藤二朗さんは原作超えのキャラクターになってるし、ムロツヨシさんに至っては原作にはないキャラクターにも関わらず暴走、三橋のとーちゃんはさほど原作には出てこないものの吉田鋼太郎さんを起用してるため、三橋のかーちゃんはそんなに重宝されなかったものの、かなり原作に近かった。

ちなみに瀬奈じゅんさんは元宝塚トップスター。

5位 今井勝俊(太賀)

今井も演じやすいキャラクターではあったが、原作を誇張した振り切った演技は素晴らしかった。

だんだん本当の今井に見えてきた。

『今日から俺は!!』ひどいキャストランキング

1位 赤坂理子(清野菜名)

この記事でも言及したが、圧倒的に違う。

sagitani-eiga.hatenablog.com

他のキャストが全体的にいい中で、なぜ理子だけここまで変なテイストに仕上がってしまったのか。

このドラマにおける唯一の不満は理子のキャスティングであった。 

2位 早川京子(橋本環奈)

たいてい女性キャストは美人を持ってくれば、そこまで不満が出ることはなく、それよりも男性キャストに原作との相違点など突っ込まれがちである。

ただどうにも、理子と京子の二人だけはとんでもなく残念だった。

理子役は誰がやっても文句は出たと思うが、京子役はそこまで難しいキャラクターではないため、他にいくらでもいたはず。

橋本環奈は映画『銀魂』で、福田雄一さんと仕事をして以降よく選出されるので、それによるチョイスによるものと思われる。まあ、制作陣のやりやすさは確かに重要なポイントだ。

3位 相良猛(磯村勇斗)

演技はとても良かったが、どうしても顔がかわいすぎる

相良は原作で1、2を争う残忍なキャラクターであったため、どれだけ凄まれても相良にはどうにも見えない。

であれば、指を折ったり、犬を蹴っ飛ばしたり、残忍なシーンがあれば、多少は相良に見えていたかもしれないが、今のドラマでそんな描写は許されないため、なかなか難しいところであった。

しかしこの相良役の磯村勇斗は、ドラマ『SUITS』の悪友役の谷元遊星も好演していて、なんともはや売れっ子である。

出てほしかったベスト3

1位 中野誠

中野を出すには修学旅行を描かないといけないし、そのためには京都ロケという大変さが伴うし、また、中野はそのあとも本編に頻繁に出てくるので、全10話しかないドラマに絡めるにはなかなか大変。
中野を出すということは、下手すると主演を食ってしまうので、関係各所もややこしくなる。
であれば最初から出さないという判断は制作上の都合上、英断と言える。
しかしそれでも原作ファンとしては、実写版中野は見たかったという残念さは残るだろう。『今日から俺は!!』において、三橋と伊藤を除けばもっとも人気のあるキャラクターなのだから。
もしドラマ版に出ていて、人気キャラクターになっていたら、中野だけでスピンオフまであり得た。隣人の女性を守るエピソードや、三橋とババ抜きをするシーンなど。

2位 田中良

良くんを出すか出さないかは、かなり悩んだのではなかろうか。

武道場編もあったことだし、原作ではほぼ全てのエピソードに絡んでくる主要人物なので、高崎は出さなくてもいいが、良くんはいても良かったかもしれない。

3位 桐村

フンドシマスク。

このあたりのキャラクターは大勢いる。同性愛者と勘違いされる大熊源治のエピソードもいいが、現代ではこれはNGだろう。

三橋と伊藤が本気で絶縁状態になる多河のエピソードも良かったし、隣町にバイトに行く話やボーリング場の話も。

フンドシマスクもかなり有名なエピソードであったが、ドラマ版では登場しなかった。

三橋は…?

そもそも三橋貴志というキャラクターを演じれるのはこの世にはいないのではないかと思う。それくらい難しいキャラクターであることは間違いない。

なので原作ファンが満足する実写版三橋貴志が現れることはないのではないかと思う。

賀来賢人が、限りなく三橋に近づけた唯一の人である。

エピソードを凝縮し一人二役で

制作上の様々な都合から、ドラマ『今日から俺は!!』は原作の様々なエピソードを掛け合せて、登場人物も一人二役やるような内容になっていた。

『今日から俺は!!』続編はあるか

最初から続編が決まっているドラマなんてないため、全10話であらゆるエピソードを詰め込んで、一人二役、三役こなさせることでこのドラマは構成されていたが、続編があれば、新キャラクターも続々と出てくるかも知れない。

続編があるかないかは、日テレの偉い人たちが編成と予算といろいろな兼ね合いを考えて決めるので、現時点では誰もわからないはずだが、個人的にはあると思う。

なぜなら、数字が良かったから。

時間帯から、キャスティングを考えても、そこまで大きな予算であったとは思えないし、それでいてこの結果を出しているので、続編の話は必ず出るだろう。

あとはタレント等のギャラの折り合いがつけば、実現するはず。つまりは番組と事務所の折り合い次第。続編では釣り上げるはずなので。

原作ファンの反応

このドラマに対して原作ファンがあまり怒らなかったのは、どこか子供の成長を見るような目で本作を見つめる原作ファンが多かったからであろう。

なによりも、『今日から俺は!!』を現代でドラマ化してくれてありがとう、という思いが強かったのだ。

私自身も、このドラマを機に、原作をネット漫画で購入し読んでいたが、文庫本で全巻買おうかと思っている。

10代の頃、通常サイズのもので全38巻を持っていたが売ってしまったので。

今、自宅に38冊来るのはきついので、この文庫版なら小さいし、18冊だし、あってもいい。 

また、このドラマは未公開シーンがhuluなどでかなり放送されていたが、そういったメイキング映像なども収録されたDVD-BOXも、きっと話題になるのではないかと思う。

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【今日から俺は‼】映画やダンスより大事な実写キャストの成功と失敗