映画「ウォーターボーイズ」感想 邦画復活の狼煙となった伝説映画(ネタバレあり)

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埼玉県立川越高校の文化祭名物「男のシンクロ」。

『ニュースステーション』(テレビ朝日)で放送された川越高校水泳部のドキュメンタリーをプロデューサーの関口大輔氏が見て映画化を着想するも、会社からは「こんなキモチ悪い作品やめろ」と反対される。

そして「じゃあ制作費3億円を1.5億円でやるならいい」と言われ、本当にそれで作ってしまったという。

感想(ネタバレ)

お題「高校 学園祭 男のシンクロ」

実在するのは「高校の文化祭で男のシンクロの演目がある」ってだけで、ここまでの作品を作れるっていうのはすごい。

つまりお題としては「高校 学園祭 男のシンクロ」っていう3つのキーワードで、さあ、どんなものが作れますか、という。

関口さんはじめ、やはり監督・脚本の矢口史靖さんの力もすごい。

邦画にしかできないこと

ただ熱いだけじゃないし、スポ根とも違う、ちょっとバカっぽくて、ちょっとカッコよくて、ちょっと泣ける。

この青春群像劇は洋画だと感じが出ない

そもそも海外なら男のシンクロをやっても、まあ、そういうのも欧米ノリであるのかもね、という気もしてしまう。

具体的に何か一つこれ、ってものがあるわけではないけど、全体を通して、日本でしか描写しきれない邦画の強みみたいなものが活きてる感じがした。

サブキャラクターの使い方がもう一つ

一つだけ欠点を言うとすれば、竹中直人さんの設定。

人物像がいまいちわからない。あの人は学校の先生?バスケ部の顧問?イルカ調教師?それも微妙だし、キャラも微妙。

あの濃いキャラクターが、この映画ではちょっとミスマッチだったかもしれない。

ここをもっとハッキリさせてあげるか、またはあくまで柄本明さんのようなオカマキャラ一本で行ったほうがメリハリがついたかもしれない。柄本明さんにオカマキャラは志村けんさんとの芸者コントで盤石なわけで。

ハマりすぎたシルヴィ・バルタン

ストーリーの流れもよかったし、シルヴィ・バルタンの曲もよかった。

昔の隠れた洋楽を持ってくる手法は90年代、野島伸司さんを筆頭に流行っていたけど、この曲もこの映画をきっかけに再燃して、CMでも使われていった。

ドラマ顔なのに映画映えする妻夫木聡

この年の日本アカデミー賞で妻夫木聡は主演男優賞を受賞。

最優秀は『GO』の窪塚洋介にもってかれたけど、とてもプリクラオーディションから出てきたとは思えない逸材。

浅野忠信さんや松田龍平が映画映えするのは分かるけど、妻夫木聡の映画映えは不思議。なぜかドラマだとこの人はもう一つ光らない。

邦画復活の狼煙に

口コミで爆発

当初は小規模での公開だったこの映画は、口コミと地方キャンペーンで徐々に話題となり、最終的には上映劇場100館、上映期間は6ヶ月を越える大ヒットとなった。

少なくとも当時はまだSNSどころかネット環境もまだまだだったため、音楽CDではチョイチョイ起こりうることでも、映画でこの現象を引き起こすのはかなり難しいこと。

映画製作者なら誰もが夢見るシンデレラストーリーである。

この映画をシンデレラと例えるのはややこしいが。。

社会現象に

ヒットするものはいつの世も時代の追い風が必要で、この映画の場合はシネマコンプレックス普及の時期と重なり、2000年以降の邦画復活のきっかけとなった。 

本作はのちに、山田孝之、森山未來、瑛太、石垣佑磨らのメンバーでドラマ化もされたが、この映画・ドラマのヒットにより全国で「シンクロブーム」が発生。

モデルになった川越高校水泳部は『にんげんドキュメント』(NHK総合)や『スーパーテレビ情報最前線』(日本テレビ)などでも放送され、同校の文化祭は約3万人(2002年)もの入場者数を記録するまでになった。

この一連の流れはもはや、シンデレラ・ストーリーというよりも、ウォーターボーイズ・ストーリーと形容してもいいのかもしれない。

「ウォーターボーイズ」評価

★★★★★★★★☆☆