1992年公開の日本映画。監督・脚本は周防正行。主演は本木雅弘。
成長系映画の元祖
もちろん本作が成長系映画の元祖ではないが、本作が1993年の第16回日本アカデミー賞を総ナメにしたことで、成長系映画の基盤を構築したように思う。そしてその脈絡は現在にまで続いている。
ちなみに当時の外国映画は『JFK』『ボディーガード』『氷の微笑』など。そして邦画ではウッチャンナンチャンが『七人のオタク』で、話題賞を受賞したときである。なんとも時代を感じる。
周防監督の独特すぎるテーマ選び
周防正行監督は、社交ダンスやお坊さん、そして本作では学生相撲と、テーマ選びがニッチでありながら、見事なまでの大衆娯楽作品に仕上げるからすごい。
結局はテーマではなく、監督の技量によるところが大きいのか。または、この独特なテーマ選びが成功の秘訣とも言えるのか。
炸裂する竹中直人節
本作を笑いで彩ったのはやはりこの人。竹中直人さん。
この年の前年には『無能の人』で監督デビューしているし、それまでもかなり多くの作品に俳優として出演していたので、第一次俳優竹中直人が完成した状態ともいえる。
文句なしの完璧なまでの青木富夫というダメ部員で、絶対的な安定感だった。
本木雅弘の本気すぎる俳優専念
これだけの美貌でありながら、ジャニーズで成功を収めながらも早々にシブがき隊を解散させジャニーズを退所しただけあって、俳優業に取り組む本気度がすごい。
同じく周防正行監督の『ファンシイダンス』では丸刈りになり、本作では相撲部員になり尻をさらし。
本作では、日本アカデミー賞、最優秀男優賞を受賞した。
本木雅弘さんはアイドルとして最初はブレイクし、竹中直人さんは芸人としてブレイクした。お互いに、この頃から俳優として第二の成功を手にし始めた頃で、リアルな成長物語ともいえる。
日本アカデミー賞の役割
様々な不正問題が露呈されていく現代において、日本アカデミー賞もやり玉に上がることは多々ある。
実際の裏側はわからないまでも、個人的には、日本アカデミー賞を受賞する作品は、どれも素晴らしいと感じる。
全ての映画を観ているわけではないので、そもそもなんらかの圧力でノミネートさえされない良作もあるのかもしれないし、そこは知り得ないところではあるけど。
ビートたけしさんの作品がほとんど入選しないのと、ジャニーズとの関係性には、裏側を感じざるを得ないけど、それを除いては、日本アカデミーの作品評価の目は優れたものがあるのではと思う。
「シコふんじゃった。」評価
★★★★★★★☆☆☆