24時間生活を全世界に可視化させたらどうなるか、という映画。
デイブ・エガーズの同名小説『ザ・サークル』を元に映画化したもので、こういうのをユートピア(理想郷)の逆、ディストピアと言うらしい。
(以下ネタバレを含みます)
感想(ネタバレ)
「世にも奇妙な物語」でありそうな話
ディストピアと言われると分かりにくいけど、要は、現代で起き始めてきている流れを先回りして誇張させ、その行き着く破綻社会を描くような、『世にも奇妙な物語』的な。
少なくとも日本人はこの映画を潜在的にそんな先入観で観てしまうからか、結局どっちにどう転がるの?っていうのが終始フワフワしてるように映ってしまうため、今一つ楽しめない。
もう一つ例を挙げるなら『こち亀』。
確か、部長がデジタル家電に関心を持ち始めて、いろんな最新家電を両さんに教わるんだけど、最終的に部長は、「便利になるのもいいことだけど、普段手に慣れ親しんだものも悪くないよな」、みたいなオチで終わるやつ。
例えばこんなような、分かりやすい流れやオチをどこかで期待してしまっていたというか。
エマ・ワトソンの技量不足か監督の技量不足か
みんな自分を発信しよう!
秘密があるほうがおかしいじゃないか!
政治家こそそうあるべきだ!
これこそ理想社会だよ!
だってほら、逃亡犯だってすぐ捕まえられるんだ!
私がまずはその生活を率先して証明してみせるわ!
ここまでの流れもフワフワしがちなんだけど、要はこういう流れだと。
で、生活を可視化させていく上で親のSEXを誤って全世界に流してしまう。
ここがこの映画のターニングポイントになるわけだけど、ここからなぜかグダグダになる。
そのことで親が精神的にボロボロになり、エマ・ワトソンもボロボロになるみたいな描写がはっきりと描かれないから、なんかまたフワフワする。
それでもOKとしてるの?それともここから完全に方向転換する?または、これ自体そんなにたいしたことじゃないっていう扱い?
なんかはっきりしない。
そしてその後のらりくらりと話は進み、友人を死に追い込んでしまう。
そこでようやくエマ・ワトソン、ボロボロになる、みたいな流れになるんだけど、おそらくこれをターニングポイントとしてたから、両親SEX配信の件が弱くなったんだと思う。
最終的には上層部の秘密を公開することでやり返す、みたいな、要はこうして文でまとめてみると面白い作りのはずなんだけど、やっぱり映像の構成がずっとくっきりしないまま進めてるから、いま一つ楽しめなかった。
これは結構もったいないやつ。
監督、およびプロデューサーの力不足だと思う。
「ザ・サークル」評価
★★★★★☆☆☆☆☆