2018年11月10日放送された「世にも奇妙な物語 2018秋の特別編」 勝手に、最優秀作品、主演男優賞、主演女優賞を決めてみる。 (以下ネタバレを含みます)
感想(ネタバレ)
『脱出不可』
怪談も都市伝説も警告的意味合いを持って作られた、または広がっていった節がある。
とすれば、「世にも奇妙な物語」もそういったニュアンスを多分に含んだ作りになる。
一話目の警鐘は、スマホで気軽に撮影できるようになった社会への警鐘か、または監視社会への警鐘か、そういったものを逆手に取った犯罪、冤罪か。
そのあたりがもう一つ詰めて考えられていなかったように思われた。
冒頭の『SAW』のような始まりから膨らませてはみたけれど、どうもうまくまとまらなかったというところ。
坂口健太郎は好きだけど、パニックになる描写もちょっといまいちだったような。
こういうシチュエーションって芝居の世界ではありがちだけど、現実世界にないから、意外と難しい。
そのときに人がどういう反応するかは、演出が相当よく考えて芝居をつけないと見てる人を引きつけられない。
世にも奇妙な物語は一話目で一番引きのあるものを持ってくるけど、ちょっと今回は弱かった。
でも怖さはあったと思う。構図的に貞子感は否めなかったけど。
『あしたのあたし』
この話でよかったのは国仲涼子。
この動画がどのように作られ、誰が送ってきてるのかという当然の疑問に踏み込ませず、すんなりストーリーを見せれているのがすごい。
それは、早い段階で「こういうのドラマでよくあるんだよなあ。予告編で煽ってさあ」という愚痴をものすごくふんわり演技できたことで、視聴者を引きつけれたし、予告編と現実のギャップ探しという見方にさせたところが良い。
そこに、それをも裏切る展開がおもしろいし、国仲涼子という清楚系な女が、少し年いって主婦の平凡な生活に辟易している役柄に、スッポリはまっているところがよかった。
ラスト、刺されて終わるという秀逸なオチだと思ったのに、あのザ・ムービーはなんだったんだろう。
あれをなくして、これが最終話だったら、相当インパクト強かった。
『幽霊社員』
3話目はたいていコメディがくる。
幽霊社員はすごく良くできた話で、一番隙がなかった。
ほぼ佐野史郎さんの一人芝居みたいなところあるし、こういう役やらせたらこの人ほどハマる人もいないんで、見ていて全く飽きない。
もっと無駄なシーンが多くても全然見れる。
あと、抜けてる感じのBGMもすごくよかった。
幽霊社員と幽霊が協力するというプロットがいいし、水木しげるか手塚治虫の短編でもありそうな話だった。
『マスマティックな夕暮れ』
親友を生き返らせようと、黒魔術を遂行するために数学を勉強していくヤンキーというプロットが最高。
ヤンキーらの技量がかなりいまいちだったのが残念だったけど、そこは全然許せる。
ただ、とんでもなく半端な状態で終わってしまった。
結果、大学行くでも、数学的に実に難しい黒魔術をやってみるでもいいし、なにかオチをつけてみてもよかったような。ちょっと残尿感が。
…と思ったらまさかの前編・後編形式。
そしてまさかの生き返るというオチ。
憎めない。
エンディングがこの話で来るということは、やはり『クリスマスの怪物』では弱かったか。
『あしたのあたし』か『幽霊社員』を感動巨編にしてラストにしたらよかったのではないかと思う。
『クリスマスの怪物』
ラストは感動。そこで川栄李奈。
川栄もここまできた。
めちゃイケバカ代表の川栄が。
これ本編の感想の前に一つ言いたいのは、
「ずっと苦手だったの。12月24日が」
「どうして」
上質な土 チョーヤ梅酒!
このCMの入り方、とんでもなく急だった。
ここでCMです的なフリも音もなにもなく、急激にバスンとCM。
そのインパクトが一番強かった。
ストーリーもラストだというのに思ったより単純で、本郷奏多は被害者の兄だったとか、なにかオチが欲しくなってしまった。
ただ、怖さのインパクトはちゃんとあったから、これが1話目だっつたほうがよかったような気がする。
あと、服が破れたあとの川栄の切れた演技はさすがだった。
なので、もしかしたらこういったこともあり得るのかもしれない…
「世にも奇妙な物語 2018秋の特別編」最優秀賞
最優秀作品 『幽霊社員』
最優秀主演男優賞 佐野史郎『幽霊社員』
最優秀主演女優賞 国仲涼子『あしたのあたし』