鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「コーラス」感想 ハリポタを余裕で抜いたフランス大ヒット作

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2004年のフランス映画。

1944年のフランス映画『春の凱歌』を原案にクリストフ・バラティエ監督が制作。

あらすじ

戦後の貧しい暮らしで親との別居を余儀なくされた子供たちの暮らす寄宿舎。

体罰を与える校長の厳格な教育方針のもと、子供たちの固く閉ざされた心は悲鳴をあげていた。

その声なき声に耳を傾けたのは、新しく赴任してきた中年のさえない音楽教師だった。
彼は「歌」を通じて生きることの素晴らしさ、愛すること尊さを教え、無償の愛を子供たちに注ぐ。

子供たちの冷たくかじかんだ心を、歌がゆっくり溶かしていく。青白かった子供たちの頬が、喜びでばら色に染まり始める。言葉にできなかった切ない想いが、歌にのせて解き放たれていく…。

半端ない人気の映画

フランスで社会現象を巻き起こした史上空前の大ヒット作。

2004年動員記録1位(870万人)、サントラ盤1位(150万枚突破)、本作は2004年3月にフランス国内で公開されると同時に、その普遍的なテーマ性とひたむきな子供たちの姿に圧倒的な支持が集まり、瞬く間に「アメリ」の記録を抜きフランス映画史上空前のヒットを記録。

公開15週で750万人を動員、フランス人の7人に一人が観たというほど多くの人に愛され、感動を巻き起こした作品としてヨーロッパ中で異例の一大現象を巻き起こしている。

その勢いはとどまることを知らず、動員記録を日々更新、2004年にフランスで公開された全ての作品の中で、2位の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』や『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』などを倍以上引き離す圧倒的数字で動員記録1位を記録した。

また、本作の影響で100万人のフランス国民が新たに合唱団に登録、一躍『コーラス・ブーム』を巻き起こした。

本作はアカデミー賞外国語映画部門フランス代表他、ゴールデングローブ賞外国語映画部門にノミネートされている。

『天使のラブソングを』の深い版

フランス国内では大騒ぎされた映画だけど、意外と日本ではそこまで知られてない。

劇場で見たんだけど、その劇場ではこの映画公開最終日だったんだけど、席はほとんど埋まってた。最終日だったからかな。

簡単に言ってしまうと、『天使にラブソングを 2』のリアル版。

『天使にラブソングを』は、全てがうまくいく。みんな仲良くなって、更正して、何か大きな大会で優勝して。ザ・娯楽作品。だからもうストレートに面白い。

そこをいくと『コーラス』は違う。

大会どころか、ただ偉いさんが見にくるだけだし、最後は先生は解雇されて終わる。

お別れのシーンなんて、あっさりしてる。

あの紙飛行機と、手、っていう演出はにくい。

アメリカ映画とはやっぱり違う

だから、人によっては、スッキリしないって言えばしない。後から来た問題児だって、バリトンにはならず、強制転校。

挙句に学校に火をつける。

あれハリウッドなら、あの子も更正して、みんなと仲良くなって、合唱団に入って、楽しくやるんだろう。

だから結局、あの先生が来たことで、形に残る何かは、何も残らなかった。

でも、形に残らない何かは残った、という。

モランジュが後々音楽家として大成功を収めているという点なんかを含めて、少し『リトル・ダンサー』に近いものもある。

「コーラス」評価

★★★★★★★★☆☆