1998年に日本で映画化され大ヒットした鈴木光司原作の映画『リング』のアメリカリメイク版。
2002年公開。
最初に観た方に引っ張られる
漫画の原作を映画化したり、小説を映画化したり、何かもともとあったものを映画にした時に、どっちの方がどうだ、という議論をする人がいるけども、どっちの方が面白いかという単純な目線で見た時に、それを明確にするのは絶対にムリ。
ほぼ優勢なのは「最初に観た方」に決まっているからだ。
おそらくこの映画を観た日本人は「あんまり怖くなかった」とか「日本版の方がよかった」というだろう。それは当然、もうストーリーもオチも全て知っているから。
もし、日本版を観てない状態でこの作品を観たら、きっと怖がっていたのではないか。
だから私もこの映画、怖いと感じることはほとんどなかったし、それは日本版を観ていたからだと思う。
アメリカ版の良かったところ
アメリカのスタッフ達の正解だったところは、日本の『リング』とストーリーを全く変えなかったところ。
きっとこれを観た日本人は「全く一緒じゃん」と揶揄すると思うんだけど、もし、アメリカ人が色々手を加えていたら、もっとつまらないものになっていたと思う。
あの完成された原作は下手にいじらない方が絶対いい。だから、この『THE RING』を観て面白いと言うアメリカ人は、日本のリングを面白いと言ってるのと同じ事というわけだ。
ただ、本作を観たアメリカ人が、その後日本の『リング』を観ても、『THE RING』の方がよかった、と言うんだろうけど。
日本よりも良かったところは、本作の方がストーリーが簡潔的だった点。
例えば日本のは、真田広之が変な能力を持っていたけど、あれはいらなかったと思った、この作品を観て。
アメリカ版の悪かったところ
本作で失敗していたのは、あのサマラが出てきた後、CGみたいなのでググッと近づくところ。
アメリカのスタッフは、あそこに、かなりかけていたと思う。
ストーリーもそっくりそのまま同じだし、どっかに自分達のテイストを入れたかったんだと思うし、あわよくば超えたいと思っていた。
そうするにはやっぱりあの最後のシーンで差をつけるしかない。色々考えてのことだったんだろうけど、あれはやっぱり失敗だ。貞子の登場の方が恐ろしい。
サマラが近づいてくるあたりで、画面がナオミ・ワッツに切り替わったりする。あの変が実にアメリカ的な演出だけど、絶対ダメ。
あそこは、サマラに釘付けにしないと意味がない。恐怖感が散ってしまうから。
TVに近づいてくるところももっと引っ張るべきだったし、出てきてから、ゆっくり
近づいてくる所ももっと引っ張るべきだ。
もっと言えばあの研究室だって広すぎてちょっと恐怖感が薄れるんだけど、まあ、そこは日本とアメリカの広さの違いだからしうがないんだけども。
でも、びっくり演技対決では、絶対あのアメリカの俳優よりも、真田さんが上回っていたように思える。
「THE RING」評価
★★★★☆☆☆☆☆☆