鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「マイノリティー・リポート」感想 小説原作のちょっと笑えるSF映画

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2002年に公開されたアメリカの映画。

原作はフィリップ・K・ディックの短編小説。スティーヴン・スピルバーグ監督。

(以下ネタバレを含みます)

あらすじ

途中までは、あー、はいはい、こういう映画ね、という感じで観る。

未来の殺人を予測できるシステムを利用し、殺人事件を0に、しかし、殺人を犯していない人を逮捕するのはどうなのか、主人公のトムクルーズはなぜかドラッグ中毒、息子を殺された過去を持つ、チーフ。

しかしある日、自分が殺人をする報告が出される。

これは陰謀だ、罠だ、幾つかの疑問と戦いながら、マイノリティリポートの存在を知る、が、やはり、マイノリティリポートは存在しなかった。

トムクルーズが殺人を犯す相手は、息子を誘拐した犯人だった。

見事な脚本

このあたりがそこそこ面白い。

1つは、あそこでトムクルーズがやはりプルコグの予想通り、犯人を殺してしまうのだった・・・でも面白いし、本編のように、ぐっとこらえながら、殺人ではなく逮捕を選択するシーンも感動的。

あそこで終わってもそんなに悪くはないんだけど、話はまだ進む。

その犯人は、実は真犯人ではなかった。黒幕がいた。

あの、エコーというプルコグの特徴を利用した犯罪というのが面白い。

ああ、なるほど、と。

自らああいう世界をつくりだし、そこにトリックを造って事件を起こさせるあの筋書きは結構良かった。

脚本の欠陥

ただ、こうやって、自分達で造りだした世界観の中で何かをやろうとすると、必ず欠陥は起きる。

ましてやこんな、入り組んだ複雑な設定の中では、粗が相当出てくる。

  • あの司法局の奴は、何で勝手にトムクルーズの自宅に入れるのか。
  • 黒幕の局長に殺されてしまうけど、なぜあれは予測できなかったのか。
  • 予測されることを前提に過去に1つ犯罪を起こしている局長が、なぜ予測されてしまうんではないかと疑いもせずあんなあっけなく殺してしまえたのか。
  • 何で犯罪者扱いになっているトムクルーズの眼球で、犯罪予防局や留置場に入れるのか。

そして、最大の疑問は、

プリコグがなかったら、トムクルーズはそもそも殺人を起こさなかったのでは?

ということ。

だってあの予知結果を見てから、ああいうことになってったわけでしょ。

こういった、近未来とかSF系の映画には、突っ込もうとすれば幾らでも突っ込みどころは絶対にあると思う。

肝心なことは、突っ込まれないように、矛盾点をいかになくしていくかじゃなくて、いかに観客に、突っ込むタイミングをなくすくらい、映画に釘付けにさせるかということ。

ただ矛盾点を消すだけなら、エンターテイメントはつまらなくなってくる。

どうやったって、矛盾点が出るなら、そこに気付かせないくらい、どうストーリーを面白くさせていくかが鍵。

 

笑いが欲しかった?

それから、微妙に全体的に散りばめられたギャグ。

あれはなぜなんだろう。

ヨガ教室に飛び込んでくシーン、ハンバーグを焼くシーン、GAPでのシーン、トムクルーズが目を入れ替え、包帯を巻いて12時間経つのを待っている時に、スパイダーとかいう、網膜捜査ロボットみたいなのがバーッと出動するでしょ。夫婦喧嘩してるところに入っていくシーンなんか、悪くないよね。

アガサとトムクルーズが二人で逃げている時、乞食に「小銭を渡して」と言って、その後、小銭を拾おうとする乞食に追っ手がぶつかり転ぶあのシーンなんて、ジャッキーチェンの映画を彷彿させる。

未来が予測できる以上、その利点を生かしたギャグは、やらない手はない、という考えだったのでしょうか。

でも自分が監督だったら、絶対ああいうことしたくなるだろうな。

「マイノリティー・リポート」評価

★★★★★★☆☆☆☆