鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「風と共に去りぬ」感想 お上品な名作かと思いきやぶっ飛びまくりの超現実映画

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1939年製作のアメリカ映画。

1936年6月に出版されたマーガレット・ミッチェル原作の世界的ベストセラー『風と共に去りぬ』が原作。

監督はヴィクター・フレミング。主演はヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル。

日本での初公開は戦後の1952年。

序盤は全てフリだったのか

 

すさまじい脚本、ストーリー。

なんか名前だけは良く聞くし、たまには名作でも観てみるかなんて軽い気持ちでレンタルして衝撃を受けた

最初は、まあ、なんとも幸せ一杯の純愛ラブストーリーだな、と。時代だよねー、的な。出演者らの服装や、紳士、淑女の振る舞いだとかも。

この時代の人たちは、こういう映画を観て楽しんでたんだねー的な。

それが、南北戦争にさしかかったあたりから、すさまじく現実的になってくる。これまではフリだったのか。

最強のヒロイン

こんな穏やかな映画のヒロインは、少女漫画のようにさぞ純真に違いないと思ってたら、とんでもないヒロイン。

雰囲気的にはメラニーが主人公としてふさわしい。それがこのスカーレットは、アシュレイと結婚できない嫉妬から、好きでもない男と結婚するし、その夫が死んでも喪服はもう飽きたとか言うし、妹の恋人と金目当てで結婚してしまうし、馬は飲まず食わずで走らせて飢え死にさせるし、畑の大根食いながら「私は生き抜いてやる。人を殺してでも、盗みをしてでも」とくる。

かと思えば、あれだけ悪態をついていたレッドにキス1つで虜にされて結婚するも、まだアシュレイを引きずって…、と、とんでもないキャラクター。

ただ、実に人間的で、活力さえ得る。

これ台本渡されたら、こんな役どーやって演じたらええねん、となるよね普通。

物語を動かす表情とコメディ

ヴィヴィアン・リーのあの表情のつくりかた、あの微妙な言葉一つで、表情を巧みに変え、物語の雰囲気や方向をはっきりとわからせてくれる

長い映画だから、このヴィヴィアン・リーの表情が物語を道案内してくれる。

さらにすごいのはコメディ。笑いを誘う演技も見事。

泣きながら酒でシャックリするなんていう王道も完璧だし、怒ってたと思ったら泣き出したり、かと思ったら笑い出したり。

ラストシーンなんて、どうしよう、どうしたらあの人戻ってくれるかしら、って、とうとう自我に目覚めた、愛に目覚めたかのような感動のシーンで、どうしよう、明日考えよう、って。

演技指導もしようがないような感情の大渋滞を完璧にこなす。

日本だと誰だろう。なかなかここまでできる人は検討がつかない。

字幕・吹き替えどちらもいい

あまりにもすごいから、字幕、吹き替え両方見たけど、吹き替えの声優さんも相当うまい。レッド役の人も。

いや、吹き替えの声優陣みんなよかった。ベル役とか。渡辺えり子さん的な。

 

手塚治虫漫画のようなスケール感

これだけ長いにも関わらず、あっという間。

演者達の関係や、人物像も少しずつ変わってきたりするし、人も死んでいく、この辺のストーリー展開は手塚治虫作品ばり。

監督の手腕もすごいし、この時代にしては合成技術もうまい。

なぜか一箇所だけ、明らかに合成とわかるシーンがあったのが不思議。馬車で、レッドとスカーレットが乗ってるシーン。なぜかあの合成だけ随分お粗末だ。 

でも1939年にこんな大作完成させてしまうとは、アメリカのエンターテイメントは本当にすごい。

「風と共に去りぬ」評価

★★★★★★★★★★ 神