2003年のフランソワ・オゾン監督の映画。
綱渡りの作り方が全部成功してる
登場人物が少なく、映像(構図)がキレイで、キャスティングが合っていて、あざとい起承転結がなく、それでいて奥行きがある。
一見不自然なカット割りや、突拍子もないカメラの切り替えも、一歩間違えると単に見づらくなってしまうギリギリのラインを(おそらく)意図的におこなっていて、この違和感こそが、この映画のみが持つ独特の不思議さを醸し出しているんだと思う。
不思議な心地よさを得る読後感
この映画は見終わると、何とも不思議な気分に包まれる。
特に中盤から迫ってくるあの緊張感はすごい。
下手なホラーものより怖い。
そしてラストの何分間かで、今まで観たものが全てひっくり返され、全くわけがわからなくなる。
これは誰でもそうだと思う。えっ?と思う。
肝心なのはこの後で、普通は「なんだこのラスト、よくわかんねーよ」となるんだけど、「えっ?えっ?なんだったの?なになに?」とさせられるかどうかが重要で。
映画監督はみんなこれをしたがる。
でも、たいていは客の心を掴み切ることができず、単なる愚作と難癖をつけられてしまうんだけど、この監督は見事にそれをやってのけた。
観た人はみんな引きこまれると思う。
この映画を観て、完全にフランソワ・オゾンのファンになってしまって、他作品も全部観たけど、やっぱり『スイミング・プール』が一番良かった。シャーロット・ランプリングのファンにもなってしまった。
毎年に夏になると、この映画を観たくなる。
「スイミング・プール」評価
★★★★★★★★★★ 神