このドラマのおもしろさは、死という重たいテーマを扱いながら、このありえない設定をコミカルに、リアルに、感動的に見せるという、役者の技量が相当問われるドラマである。
すごいのは竹野内豊の演技力
『海街ダイアリー』でしっかりものの長女を完璧に演じきった綾瀬はるかの技量は、このドラマでも再び評価されるだろう。
しかし、実はこのドラマで一番難しいのは、竹野内豊演じる、夫の宮本良一役だ。
義母役はぶっとんだキャラクターではあるが、ブレないキャラクター設定が確立されているため演じやすい。『家政婦のミタ』の松嶋菜々子然り。
夫の宮本良一役は、
- ぶっとんだ宮本亜希子に義母を依頼し
- 前妻を愛しながら
- 娘に偽装結婚を隠し
- この義母に恋し
- 死と向き合いながら
- ドラマをコミカルに成立させる
という、相当な技量が必要になる。
綾瀬はるかをいやらしく見ない
特に難しいのが表情で、まず、宮本亜希子役の綾瀬はるかを、女性として見るような表情をしてはいけない。
ネットで話題の、胸が強調されたワイシャツ姿に、一ミリたりともいやらしい目線を向けてはいけないうえ、「普通こんな美人が隣にいたらそういう目で見るだろ」と視聴者に思わせてもいけない。
これが相当難しい。けど、竹野内豊は完璧だ。
義母を活かすフリとツッコミ
それくらい娘と前妻を愛する表情を保ち、死と真剣に向き合っている演技をしないといけないし、そのうえで義母をコミカルに見せるようなフリと突っ込みが必要になる。
宮本亜希子役に綾瀬はるかは一番適任だったと思うが、この役をこなせる女優は他にいないこともない。
しかし、宮本良一の役どころを竹野内豊以上にできる人はとても思いつかない。
佐藤健の謎
物語に一辺して出てくる佐藤健。
なぜか佐藤健の登場は毎回不穏な効果音が入る。これは、やがて死んでしまう宮本良一を暗示させるなにかなのか。
原作には麦田(佐藤健)の役どころは存在するというが、ここが佐藤健である必要はあっただろうか。
あの使い方で佐藤健ファンを引っ張れるとは思えないし、ギャラを考えれば、彼じゃないほうが費用対効果も良かったのではないか。
とるすと今後、麦田(佐藤健)の伏線回収作業が起こるとしか考えられない。
竹野内豊は死ぬのか
このドラマのすごいのは、夫(竹野内豊)が死ぬかどうかが全く読めないというところ。
これで殺してしまうのは、あまりに視聴者に対し残酷すぎる描写だが、このドラマならやりかねないと思わせるところがすごい。
そもそも、死ぬ前提で全てが始まっているので、亡くなったとしてもしかたがない。
次回予告がなかった謎
テレビではなぜか次回予告がなかった。
えてして、死んだのか死んでないのかが問われるタイミングで、次回予告がないということは、過去の名作ドラマでもあった。
しかし、なぜかネットでは公式から出ている。
『義母と娘のブルース』8/14(火) #6 第2章スタート!! 父の愛がつなぐ10年【TBS】
これは、もしかすると単純に制作が追っつかなかっただけか…または予告編を削ってでもぎりぎりまで本編を見せたかったか。
すぐに切り替え飛ばしてしまう現代人に対して、予告というのは、来週までの期待を繋ぐ大事なツールなので、ネット上にある以上、テレビだけ意図的に出さないというのは少し考えにくい。
やはり間に合わなかったのか…?
第二章をこの面子で引っ張れるか
そして予告編を見ると、来週からは第二章突入とある。
ここまでの視聴率を見るとかなり順調に来ているのに、
- 11.5 %
- 11.3 %
- 12.4 %
- 12.2 %
- 13.1%
第五話では今クールドラマでトップの13.1%を取ったのに、竹野内豊を殺して10年後に飛ばすというのは考えにくいが、竹野内豊が生きていて、その幸せな10年後を残り何話も見せるとも思えない。
と考えると、やっぱり死んでしまったと考えるのが妥当だ。
しかし、ちょっと早いような気がする。
残りを綾瀬はるかと上白石萌音と佐藤健だけで見せるのか。
主要2人(竹野内豊、 子役・横溝菜帆)がいなくなって、成立するだろうか。
キャリアウーマンの義母と、闘病中の夫と、娘、この3人の妙な関係性が良くてこのドラマはここまで視聴率を上げてきた。
上白石萌音の技量は、低くはないが高くもない。
最終回ならまだしも、このタイミングで投入されて最終回まで引っ張れるだろうか。
と考えると、やはりここから佐藤健の伏線回収劇が始まるのだろう。であれば、わざわざあんなチョイ役に佐藤健を起用していたことも頷ける。
ただ、そうすると上白石萌音で大丈夫か不安が残る。
やはり次週もまた目が離せない。