ドラマ「この世界の片隅に」が最終回を迎えた。
ひどい、原作と違う、などと言われていたが、人気原作がある以上はこれは必ず毎回言われることなので、そういった評価はどうでもいい。
ドラマ「この世界の片隅に」視聴率
第一話 7月15日 昭和の戦争のさなか懸命に生きた家族の愛と命の感動物語!
演出 : 土井裕泰 10.9%
第二話 7月22日 小姑襲来! 戦時下の広島波乱の新婚生活が幕を開ける!
演出 : 土井裕泰 10.5%
第三話 7月29日 初めての逢引、交錯する4つの運命
演出 : 土井裕泰 9.0%
第四話 8月5日 りんどうの秘密、知られざる過去
演出 : 吉田健 9.2%
第五話 8月12日 空襲来る…さよなら初恋の人
演出 : 土井裕泰 8.9%
第六話 8月19日 昭和20年夏、きたる運命の日!
演出 : 吉田健 8.5%
第七話 9月2日 昭和20年8月広島…失った笑顔、絶望の先
演出 : 土井裕泰 9.8%
第八話 9月9日 最終章前編! 戦争が終わる…さよなら親友
演出 : 吉田健 10.9%
最終話 9月16日 完結〜原爆後の広島で出会った愛の奇跡
演出 : 土井裕泰 10.0%
脚本は全て岡田惠和
最優秀賞は尾野真千子
このドラマのファンならこれには誰も異論はないはずだ。
最終回でも、すずと周作が小さな子ども(節子)を連れてきた時も、「よう似合う…えかった、いらんで(売らないで)」という時のあの表情。
よう似合う、という一言で全てを語ってしまう説得力は半端じゃない。
本作のキャスティングは2011年の日テレ特番と比べるとその差がはっきりとわかる。
北條すず - 北川景子(幼少期 - 石井心愛、少女期 - 川島鈴遥)
北條周作 - 小出恵介
白木リン - 優香
水原哲 - 速水もこみち(幼少期 - 岡田和志)
北條径子 - りょう
北條円太郎 - 篠田三郎
北條サン - 市毛良枝
浦野十郎 - 萩原流行
森田イト - 水野久美
千鶴 - 芦田愛菜
2018年版を見てしまった後でこのキャストを見て「こっちも見てみよう」となる人はおそらくいないのではないか。
本作のキャスティングは他にも、伊藤蘭、村上虹郎、二階堂ふみ、塩見三省、田口トモロヲ、仙道敦子、宮本信子というものすごい布陣。
特に健闘したのが、伊藤沙莉、ドロンズ石本だろう。
問題の現代パート
なぜ必要だったのか疑問が残る現代パート。そしてなぜ古舘佑太郎(古舘伊知郎の息子)だったのかという小さい疑問もあるが、この現代パートはあまり評判が良くなかった。
オチもわりとあっさりしてて、であれば、冒頭からそこまで引っ張ることのほどか、と思ったが、すずさんが生きてるとは思わなかった。
あのラストシーンもとても良かったが、1つだけ苦言を呈すなら、すずさんの「負けんさんなよー!広島ー!」という後ろ姿で終わるのは良かったが、無くした左手を一瞬でも映してほしかった。
その後もずっと広島で生き抜いてきたすずさんを一発で描写できるからだ。
毎年夏にやるべきドラマ
ドラマもテレビも商業、ビジネスであることには違いないし、それでいいわけだが、こういったドラマは毎年夏に放映するべきである。
戦争を知っている人はこれからどんどんいなくなっていく。人と人とのコミュニケーションもどんどん減って、戦争は風化していくだろう。すると世界唯一の被爆国である日本も、次第に薄れていくだろう。
本作は、視聴率ともしっかりと向き合っていたが、戦争ものを扱う上での要点を全て抑えていたように思う。
特に最終回、原爆ドームでの残酷なシーンの描写もきちんとされていたところも良かった。
コンプライアンスが今後も叫ばれていくとなると、こういった描写はどんどん消されていくだろうが、現代で「はだしのゲン」を再現するくらいのことをしていかないと、本当はいけないのだと思う。
漫画以上に残酷なことが、この日本で実際に起きたのだから。