映画「夢」全8話感想 宮崎アニメ的純和製ファンタジーで夢の世界へトリップする

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1990年公開の、黒澤明監督による日本とアメリカの合作映画。

「夢」全話感想

北野武監督の「TAKESHI'S」は、どことなくこういうことがやりたかったのかもしれない。

「夢」という点と、監督のやりたいようにやった、という点と。

1.日照り雨

この話と最後の話は、純和製ファンタジーという感じで、どことなく宮崎駿的な印象。

水車村なんて、ほんと、宮崎監督がアニメの世界だけでなしえてるの特有の世界観を、
実写でやれちゃうんだから、やっぱりこの人の色彩感覚や構図のセンスは脱帽といえる。

2.桃畑

これ、1と少し似てるから、後々思い出そうとすると、若干1とごっちゃになってしまう。どっちも主人公は子供だし、男の子だし。森みたいなとこ行くし。

これ1と2は離した方が良かったんじゃないかね。

3.雪あらし

ちょっと何かありそうで、別に何もないという。

この「夢」という映画全体に、細かいストーリーは求めちゃいけないんだろうけど、ちょっと、何か起こるのかなと期待してしまうと、普通に終わる。

4.トンネル

退屈しかけてきた所に若干インパクトのある話が来る。

手榴弾をかけた犬も、あれ幽霊なんだろうね。

しかしさすが黒澤監督、犬にも演技させてるという気がしてしまうくらい、あの犬がいい。

5.鴉

この8作品の中では、いろんな意味でこれが一番評判いいんじゃないだろうか。

CGも、当時にしては完成度高い。一瞬セットかと思った。

よく見ると、足元が地面と微妙に遊離してるからわかるんだけど、でもそれくらい何だか奇妙な感じだよね、あのゴッホの画の中に入っていく所は。

ちなみに、このゴッホ役が、黒澤監督を敬愛するマーティン・スコセッシ。

6.赤富士

題材というかテーマはいいんだけど、何かこれだけ映像はいまいちだった。

この辺からメッセージ色が強くなるのと、あれ、何かさっきっから全部寺尾聰だぞ、と気付く。

7.鬼哭

ああ、いかりや長介さん。

黒澤作品でもしっかり俳優業をやられてたんですね。知らなかった…。

で、やっぱりうまい

ここで長さんをキャスティングするなんて、すごい選抜力。

キャスティングも黒澤さんなのかな。だとしたら本当スゴイよね。

8.水車のある村

個人的に、本作の中で一番好き。

この空気感と、そしてあの風景描写、本当にいい。

宮崎駿アニメを見ている時の心地良さに近い感覚を覚える。

映像美と音楽美

全体的に、映像が美しく、でもどこか陰鬱だったり、混沌としてたりもするんだけど、おどろおどろしくはないし、観ていると夢の世界に入り込んでいくような、良い意味で眠たくなってくる短編映画集。

音楽もいい。

「桃畑」のラストなんて、あの日本の木々丸出しの映像にパイプオルガンの音がどういうわけだかばっちりはまるし、雪女登場の時に後ろでうっすらかかるあのメロディーといいいボリュームといい、本当にあの登山家のように、永遠の眠りにつきそうになってしまう。

黒澤映画だと言って構えずに、眠る前にベッドに入りながらぼんやり観て楽しめる。

それでいいんだと思う、この映画は。

「夢」評価

★★★★★★☆☆☆☆