鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「シンドラーのリスト」感想 スピルバーグ=娯楽のイメージを覆した感動の実話

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スティーヴン・スピルバーグ監督による1993年のアメリカ映画。

実在する人物、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人の命を救った実話

ホロコーストに関する映画の代表的作品として知られる。

(以下ネタバレを含みます)

シンドラー役がめちゃくちゃいい

作りがかなり緻密で、演出も見事で、完成度がすごく高い。

まず、シンドラー役のリーアム・ニーソンがいい。

どうも映画の主人公とは思えないような胡散臭い男で、なかなか感情移入などできない。

それが少しずつヒューマニストと変化していくあの描き方。

自然で、わざとらしくなく、これは、監督と演者の力量だろうね。

虐殺シーンの描き方

虐殺シーンにしても、こんな残虐なことをドイツ人はしていた、という描き方ではなく、こんな簡単に人を殺していた、という描き方がいい。

残虐さを強調させて視覚で訴えるよりも、まるで人を人と思わないような殺戮の現実と実態をリアルに訴える手法。

教育的にも影響力的にも、こういった方法のほうがいいと思う。

淡々とした起承転結

あざとい説明口調な箇所もないし、赤い服にしても、全体的において、見事な作品だと思う。

押し付けがましくもないし、淡々としていながら、映画としての起承転結が背景にはちゃんとあって、スピルバーグはやっぱりすごいと思った。

スピルバーグ=娯楽作品のイメージを覆した

本作は、世間一般的なスピルバーグ監督作品に関するイメージとはまるで違う。

撮り方も演出も、いわゆるハリウッド映画とは違う。

あの抑えた演出といい、さすがの作りだった。

それまでスピルバーグは娯楽作品の評価は高かったけど、真面目なテーマの作品は評価されることが少なかったスピルバーグにとって、本作は念願のアカデミー最優秀作品賞・監督賞受賞となった。

 

「シンドラーのリスト」評価

★★★★★★★★☆☆