鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「2001年宇宙の旅」感想 人間の創作力の限界に挑む(ネタバレあり)

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アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックのアイデアをまとめたストーリーに基いて製作された、SF映画およびSF小説。

映画版はキューブリックが監督・脚本を担当。

1968年公開作品。

感想・見解

考えるな、感じろ?            

この映画、観る人のことをはれくらいまで考えてつくったんだろう。

下手な演出とか、余分な説明が多い映画もうっとうしいけど、この映画はその逆で、一切説明がない。

(以下ネタバレを含みます)

骨から宇宙船に変わるシーン

この映画は、万物の創生主というか、いわゆる「神」みたいなのが、3つのモノリスをあらかじめ設置してて、1つめは地球上で類人猿に与え、それでその知恵を与えられた猿が、敵グループの猿を骨を使って殺す。

道具を使って相手を殺すことを覚える。

その振り上げた骨が宇宙船に変わるシーンはとんでもない演出。見事すぎる。

つまり、最初に生物を殺す武器となった骨が、宇宙船にまで進歩して、最後はその中で機械と人間の殺し合いが起こるという、ちょっと手塚治虫氏の規模に近い。

手塚治虫最強説

そもそも、この映画の絵コンテかなんかを、キューブリック監督は、手塚氏に依頼したとかいう

それもずこいことだけど、「忙しいから」って断った手塚さんもすごい。

キューブリックもすごいのが、どうやって、日本の漫画家を見つけたんだろう。

そしてその圧倒的な才能に感嘆している。

やはり天才と天才はどれだけ離れていても引き寄せ合うようだ。

2つめ3つめのモノリス

2つめのモノリスは月面に埋められてて、つまりそれを発見する人類ってのは、それを見つけられるまでに進化したってことを示してるわけだね。

3つめのモノリスは、2つめのモノリスの信号が示す先の木星の衛星軌道上にあって、そこに最初に辿り着く人類が、神の手によって、摘まれるんだか、なんかのサンプルにされんだかはわかんないけど、なんかそんな感じなんだろう。

意図を見せないという意図

最後のあの変な部屋は、あれみんな船長のデイヴ・ボウマンなのかな。

着いたと思ったら、年老いて、じじいになって、死んだと思ったら、胎児になってる。

このあたりが何をさすかっていうのが、まあ実際答えなんてなくて、あえて抽象的にしたかったんじゃないかね。

真意をはっきりと伝えたかったらもうちょっとヒント出すと思うし、あえていろんなとりかたができるように、ああいうラストにしたのではないか。

その「神」に関しても、ああいう存在をはっきりさせてしまうよりかは、曖昧にしといた方が得だろうし。

人間の想像力

「人間が考えられるものは必ず実現する」というけど、1960年代で、これほどまでの想像力を持つ人間がいるというのがすごい。

多くの映画監督や創作者がこういった作品を作りたいと考えるけど、これは容易ではない。

原作から徹底的に考え抜かれたものになっているし、それを作った本人が監督しているわけだから、これだけの作品ができる。

映画鑑賞という気分で観れない

キューブリックの映画は、高尚な文学作品のように、どれも娯楽作品のそれとはまるで違う。

忘れることのできない映画ではあるけど、もう一回観ようか、となかなか思えない。

しいて言うなら、もうなにもしたくない、というときに観ようと思うのかもしれない。別次元に連れていってくれるから。

「2001年宇宙の旅」映画

★★★★★☆☆☆☆☆