ドラマ『下町ロケット』が最終回を迎えた。
「下町ロケット」視聴率
第1話 13.9 %
第2話 12.4%
第3話 14.7%
第4話 13.4 %
第5話 12.7%
第6話 13.1 %
第7話 12.0%
第8話 11.5 %
第9話 12.6%
第10話 15.5%
ヒットしてるドラマほど叩かれるもの。
「もう落ち目」「視聴率怒り噴出」などとなにかと言われていたが、終わってみれば見事な結果。
最終回詐欺
どういう経緯でそうなったか知らないが、確かにそうは言われるだろう。
しかし、制作陣が「最終回!」と謳うのも当然だ。
まだありますよー次もあるよーと言いながら、最終回を迎える馬鹿はいない。
まあここは、正月にまた新作(本当の最終回)が見れるという喜びを感じたいし、そもそも視聴者の声もそっちが大半のように見える。
細かいキャラクター描写
初回シリーズに比べて本作は、大枠のストーリーの規模が小規模ではあったが、その細かい描写が巧みに作られていた。
シリーズものにつき、特にキャラクター描写にその緻密さは顕れていて、例えば「スポーツが苦手なんですよ」と言われてムッとする財前のボウリング勝負や、徳重聡とイモトアヤコのによる「軽ちゃん・しまちゃんコンビ」、さらには福澤朗VS古舘伊知郎のアナウンサー対決、TEAM NACSファンにはたまらないリーダーと安田彰の共演など、本筋と違ったところでも見どころが多く設けられており、飽きさせない作りだった。
強引な感動シーン
本作は、口説こうとする、断られる、諦めかける、みんなもそれを説得する、諦めない佃社長、全員(または特定の誰か)を説得、というループがあまりにも多過ぎた。
それも、会社が生きるか死ぬかという規模のものではなく、よく考えればそこまで大問題でもないことでも、阿部寛のあの迫力と、福澤監督のドアップな撮り方にいつもBGMがかかれば、池井戸ドラマ劇場開始といったような。
その言い方とBGMがかかったら絶対口説かれるんだろうなブラフで、その理屈も、もはや通ってるのか熱意だけなのか、分からない強引さがあった。
ドラマのため、毎回見どころを作らないといけないわけだが、その手法が少々マンネリ化してしまっていたように思う。
お笑いのマンネリは楽しめても、感動のマンネリは少々退屈する。
その感動の描写のピークを毎回佃社長にしてしまったことが既視感を生んだのではないか。時には殿村、時には安田、時には徳重、時にはイモトと、もう少し分担しても良かった。
つまりは、佃社長が活躍しない回がもっとあっても良かった。
MVPは軽部(徳重聡)
本作の隠れMVPは圧倒的に徳重聡であった。
恵まれた体格、顔立ちでありながら、その端正なルックスを見事に潜め、ただただいけ好かない嫌われものを演じきった。
視聴者にとっては完全な不協和音であり、誰もが嫌だと感じるキャラクターを完璧にこなしていた。
だからこそ軽部の能力が本領発揮されると胸がスッとする。味方でも質が悪いが、敵からしても不気味。本来は有能な人間のため、要所要所でその能力を発揮し、そんな軽部が抑えたガッツポーズを取ると、見ていてグッとくる。
そして終盤に明かされた軽部定時上がりの真実。さらには、定時で上がったあと、彼は一人で会社に戻り誰よりも仕事に向き合っていたという事実。
徳重聡を軽部に仕立て上げた演出も見事だったし、それに100点以上で答えた徳重聡の技量を見せつけられたドラマであった。
最終回では、軽部の「残業だあ!」が全てを持っていった。さすが21世紀の石原裕次郎。
そして財前(吉川晃司)
また、本作では財前が完全に佃サイドの味方でいるところも、見ていて安心感があった。
その安心感は、神田正輝演じる的場俊一の強いキャラクターあってこそ。さすが石原軍団。とても松田聖子の元旦那、山村美紗サスペンス片平なぎさの夫役には見えなかった。
徳重聡といい、石原軍団はやっぱりすごい。
藤間社長の重厚さは相変わらず健在で、今回は随分炸裂していた。
イモトアヤコはどうだったか
個人的にあまり好きではないイモトアヤコだが、実に好演であった。
基本的に、福澤演出は毎回トリッキーなキャスティングをするが、登場人物が誰も下手に見えない。
古舘さんはドラマ経験もあるが、福澤朗さんなんかもかなり良かった。
物語としては1月2日21時~が完結となるだろう。
とりあえず、これを楽しみにしたい。
下町ロケット -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX
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阿部寛 TCエンタテインメント 2016-03-23