ある日突然訪れた原因不明の電気消滅により廃墟寸前となった東京を脱出する一家の話。
脚本、監督は矢口史靖。
(以下ネタバレを含みます)
感想(ネタバレ)
誰にでもオススメできる娯楽作品
おもしろい。文句なし。
親、子ども、友人、ネット、どこでも誰にでもオススメできる娯楽作品。
基本的に映画は一人で観るけど、この映画は誰かと観たかった。
誰かと会話しながら観るのにうってつけ。
やっぱり一番いいのは家族だろうか。
自分ならどうするか、自分の親ならどうするか、もう会話が止まらないはず。
劇場で会話しながら観ることはマナー違反だけど、会場の笑いという名の共感に包まれながら観るのも楽しそうだ。
そういった意味ではある種「絶対に一人で見てはいけません」とも言える。
オチの説明がないのが良かった
なぜ電気系統が全部だめになったか、という説明がないのが良かった。
そんなところには時間をかけず、ひたすら「もし明日電気がなくなったら?」を徹底的に描いてくれたのがいい。
だから最後あっさり復活するんだけど、あれも、観ていてちょうどこちらも疲れてくる頃合いだから、「おお、電気復活したかあー(終わりかー腹減ったなあ)」とすんなり受け入れられる。
あそこから、「なぜ電気が…」と延々やられても疲れるし、なぜそうなったかを説明する場合、その辻褄をメインストーリーに入れ込まないといけないので、そうすると、ストーリーが弱くなる可能性がある。
もちろん、気になるは気になるけど、現在究明中です、的な持っていきかたで、終わらせ方もうまいなあと思った。
「なんでか分からない、現在究明中です」の流れで、もっといろんな映画も作れそう。
家族の設定が大当たりだった
配役も完璧で、小日向文世さんと深津絵里さんは言うまでもないけど、葵わかながNHK連続テレビ小説『わろてんか』と全然違って、小生意気な女子高生がすごく良かった。
「家族」と一言にいっても、どの家庭もみんなバラバラだし、この家庭をどのような設定にするかはすごく悩むところだったと思う。
お母さんの立場がすごく強いとか、息子が引きこもりとか、いろいろな設定がある。
なるべく多くの家庭環境と似たように描かないと共感を持たれないし、かといって普通すぎると後のドラマ展開が面白くならないし、あまり特異すぎる家族でもやはり共感されない。
どのご家庭にも共通しそうな4人の関係性や環境を作り出すのが大事で、この映画はそこがうまくいっていたから、どう転んでもおもしろくなったと思う。
だからこそ、途中出てくる時任三郎、藤原紀香らの意識高い系家族とのやり取りもおもしろかった。
この4人が行けば、どこへ出かけて、誰と絡んでもおもしろくなりそうな気がするし、時任三郎一家のような人たちが軸だったら絶対つまらなかったわけで。
ロケ地は山口県
この映画はオールロケで、あの高速道路は山口県の宇部道路というところで撮影したんだとか。
つまりCGではないそうで。
同じような画角のシーンが『ウォーキング・デッド』で頻繁に出てくるけど、あれははほとんどCGだもんな… CGじゃないと不可能だけど…
「サバイバルファミリー」評価
★★★★★★★★★☆