森淳一著作の小説を原作として製作された映画。
良くなかったのはここ
いい空気感保ってますね。
でも、水絵が男に裏切られた後の万引き癖は、後にテルと一年間離させるフリなわけですね。どーもあの振られた後の万引き癖が腑に落ちなかった。ポストに入れてたのも最初だけだし。
非現実的な世界観をうまく描いていたのに、水絵の逮捕といういきなり残酷な現実に戻させられますが、あれは万引きじゃないといけなかったんですかね。
警察とかあの映画で出すべきではなかったんではないか。
でも、どうしようもない事情で二人を離すには、刑務所しかなかったのか…その辺を何か別なものに変えてよく考えてみてもよかったんじゃないですかね。
だって、サリーなんて存在自体が非現実的すぎるし、いきなり家あげちゃうとか、ありえないでしょ。
それをありえねーよ、これ、とか思うような世界観じゃない、いい状態のものを保ってきたのに、水絵の逮捕があると、そもそもテルだってこれからどうやってくつもりなんだとか、知的障害なら生活保護がとか、施設に普通なら入るんじゃないかとか、あの逮捕劇でいっきに現実的な感覚に観客は戻されてしまう。
だから、やっぱりあの二人を離す理由に逮捕劇は使うべきではなかった。
抽象度のバランス
でも映画は全体的に、新しさやオリジナリティを感じさせるもので、センスのいい抽象さ、この絶妙な部分が心地よかったです。
あのとってつけたような口笛の話もいい位置でブラブラぶら下がってて。
夢の中で出てきて、何のオチもないまま、その話は完結する。あの中途半端さがいいですね。水絵と栞のらくだのシーンもいい。
小雪
小雪さんの存在感は、例えクサイ詞を歌ってもそう感じさせないシンガーのような魅力がある。
水絵なんて本来気取ったキャラクターなんだけど、水絵を観客は突き放さず理解することができてしまう。
清廉で純真な大和撫子でもない。実に絶妙なキャラクターを見事に演じきっています。
窪塚洋介の演技も相変わらずの安定感ですね。『ギルバートクレイプ』のディカプリオの演技を参考にしてたような気がする。
サリーの去るシーン、あれは最高でした。そして、電車から見るガスタンクに被る鳥。あの画はよかった。
「Laundry」評価
★★★★★★★☆☆☆