映画「麻雀放浪記2020」感想・レビュー 麻雀で笑わせるのが不可能の理由

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白石和彌監督、斎藤工主演。

舞台は東京オリンピックが中止になった2020年に1945年から主人公がタイムスリップするという設定でのリメイク。

ジャンルがグラグラ

麻雀放浪記の原案を借りる必要性はあっただろうか。

『麻雀五輪2020』みたいなタイトルのほうがよかったのではないか。

基本的にはコメディー映画として見せたかったんだろうけど、笑いが成立していた箇所は、ふんどし姿での「おつかれさまです」くらいで、あとは全部ぼんやりしてた。

スペアの全自動卓がなく「手積みじゃだめなんですか」というシーンも笑いの描写としてかなりきつい

それでも、笑わせようとしてるという意図が明確なだけいいほうで、あとはどこを笑わせようとしているのかよくわからない。

なのでコメディーとして見せたいのか、麻雀映画として見せたいのか、博打のヒリヒリ感を描きたいのかわかりにくい。

一番の敗因は、おふざけ感が弱すぎたところだと思う。もっとボケてくれないと厳しい。

博打のヒリヒリ感、お笑いコメディー感、麻雀ファン向け感、原案の麻雀放浪記感、全てが終始ぼんやりしていて結局なにを見せられているのかよくわからないまま終わってしまった。

麻雀で笑いの描写はできない

そもそも麻雀を題材にして笑いを取りに行こうとする発想が良くない。

なぜなら、麻雀の最低知識がなければ伝わりにくいから。

麻雀ファンがわかればいいという笑いにするのか、麻雀を扱った誰でもわかる笑いを狙うのかという振り切りが大事で、本作は後者だと思うんだけど、これで成立させるのは不可能。

なので、麻雀で笑いをやるなら前者で狙うべきなんだけど、この映画はあまり麻雀の専門的なシーンもなかった。

唯一良かったところ

AIが燕返しを学習して実践するあたりなんかはおもしろかったし、終盤で、人間が協力して手積みのイカサマでAIを倒そうとするあたりも良かった。

究極のデジタルを、究極のアナログで倒しにかかる構図。

でもそこも結局負かされそうになって、ドブ子とのキスでわけわかんなくなって終わるからがっかり。あれもギャグのつもりなのか。

ベッキーのAIがいい

本作ですごかったのは、ベッキーのAI感。

ものすごくうまかったし、本当にAIに見えてくる

全体的にぼんやりしているのに、ここだけ異様にクオリティが高いというのもギャグだとすれば、これはうまくいってる。ベッキーのシーンだけ切り取れば、本格的なSF映画に見える

岡崎体育はセオリーの役

岡崎体育は絶対俳優業もやると思ってたが、本作ではそのまますぎる役柄で出演している。

ここは必ず通らないといけない道だろう。これを踏まえてしまえば、あとはどんな役でも可能性がある。

ドテ子役のもも

ドテ子のキャスティングは謎すぎた。

本作で描かれているようにプロデューサーとなんかあったんじゃないかと勘ぐってしまった。

ただ演技はとても良かった。

作品に恵まれない斎藤工

斎藤工は時期的に今なにをやらせても完璧にこなせる脂が乗り切ってる時期なのに、こういうところで時間を使っちゃもったいない気がする。それくらい今神モードだから。

こういう時期に映画の当たり役に恵まれないのは厳しい。このあたりは運も大きく、まさに博打といったところか。

ピエール瀧さんをカットしなかった姿勢

原作も好きだし、真田広之版の『麻雀放浪記』も好きなので、多分今作は自分には合わないだろうなというのは見る前から感じていた。

それでも見ようと思ったのは、この映画がピエール瀧さんのシーンを、そのまま貫いた最初の事例だったということ。

この前例が後に続くことになったが、なにかとコンプライアンスがうるさいこの世の中で、作品に罪はなしと言わんばかりの強行突破には、割れんばかりの拍手を送りたい。

「麻雀放浪記2020」評価

★★★☆☆☆☆☆☆☆