鷺谷政明の神映画レビュー

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「ブレイキング・バッド ファイナルシーズン」感想・評価 文句なしの海外ドラマ最高作品(ネタバレあり)

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海外ドラマ史上最高の評価を得た理由は、このファイナルシーズンを見て納得できる。 (以下ネタバレを含みます) [:contents] 

潔い終わり方

もう少しダラダラさせて伸ばすこともできただろうが、シーズン6くらいで終わらせるところが潔い。
 
おそらくこれでも多少は間延びはさせているとは思うが、たっぷり堪能できる全6シーズンであった。ここまで来ると終わらせ方はいくつかしかない。
 
  • 死ぬ→殺される、自殺する、病死する
  • 捕まる→逮捕される、獄中、釈放、死刑
  • 逃げ切る→姿を消す

あとは、うやむやにする。

 
例えばあの小屋で一人でいるシーンでブツッと終わったり、その小屋に向かう前の車に乗るあたりで終わったり、またはリディアがリジンを飲んで死ぬ描写で終わったり、数年後「最近またブルーメスが出回ってるらしい」というDEAのセリフで終わったり。
 
ウォルターはどうなったのか、死んだのか、捕まったのか、どこへ消えたのか、みたいな、分からないままにして終わらせる、うやむや系
 
ただ、ここまできて、このうやむや系で終わらせたら、脚本家は脳なし呼ばわりされるだろう。
 
そういった意味では本作のエンディングはとても納得のいくものであった。

もう一つのエンディング

ちなみに、こんなエンディングがあった、というDVD特典映像がある。 
 
 
夢オチ。
 
この手の作品で絶対やっちゃいけないやつではあるが、シャレとしてはちょっとおもしろい。

圧巻のラストシーン

やはり特筆すべきは、トランクに仕込まれたマシンガンだろう。
 
スカーフェイスではないが、まさに昔のマフィア映画のような殺戮シーンであった。 
 
このドラマのシーズン1の表紙を見て、まさかこんなラストに繋がっていくとは、誰も思わなかっただろう。制作スタッフも含めて。
 

ウォルターの心情

ウォルターは結局、「家族のため」と言いながら、やはり自分のためにやっていたという結末も腑に落ちた。
 
嫉妬深く、誰かに認めてほしかった
 
全ての視聴者が抱くであろうこの普遍的な感情を、ウォルターがドラマの世界でぶちまけた。それが人気の要因でもあると思う。
 
しかし、やはり法を犯しての成功に、幸せなエンディングは訪れない。
 
ジェシーもその後幸せな人生を送れるとはとても思えない。

賞を総ナメ

『ブレイキング・バッド』は他の海外ドラマとは一線を画した作品であり、数々の賞を受賞してきた。
 
この映像はエミー賞の最優秀男優賞を決める瞬間だが、ケビン・スペイシー、マシュー・マコノヒーなど、そうそうたる面子を圧倒し、主演のブライアン・クランストンが受賞する瞬間。
 


Bryan Cranston wins an Emmy for "Breaking Bad" 2014

ジュリア・ロバーツが名前を呼んだ瞬間、あのオープニングの曲がかかるあたりもかっこいい。

海外ドラマ界の「カメラを止めるな!」

有名な人を起用しないという制作のヴィンス・ギリガンのこだわりもすごく、出演を希望する有名俳優が多くいたそうだが、最後まで起用しなかった。
 
だからこそ、このドラマには美男美女が出てこないし、とにかく地味なキャストばかり。
 
多くの制作費もなく、無名の役者だけでやり切り、海外ドラマ頂点の座に上り詰めたところは、さしずめ海外ドラマ界の『カメラを止めるな!』といったところか。
 

ブレイキング・バッド ファイナル・シーズン 評価

★★★★★★★☆☆☆