原作は、2000年に発行された金城一紀の小説。同年の直木賞を受賞。
監督は行定勲、脚本は宮藤官九郎による、2001年作品。
(以下ネタバレを含みます)
感想(ネタバレ)
柴咲コウのキャスティングは原作者の意向
第25回日本アカデミー賞を総ナメにしたこの映画。
キャストは問題ないと思うけど、唯一挙げるなら柴崎コウがちょっと気になった。
柴咲コウ演じるヒロインの桜井は、原作者である金城一紀が「映画化する際の桜井は柴咲コウ」と最初から彼女をイメージしていて、まさにその通りのキャスティングとなったという経緯がある。
柴咲コウは『バトル・ロワイアル』でものすごい存在感を放ち、この作品で一気に開花した。
柴咲コウがベストではなかった
こういう映画は絶妙な空気感みたいなのを保つバランスがすごく難しい。
ちょっとでもそのバランスが崩れると急激に冷めてしまう。
その絶妙なところを窪塚洋介は見事に演じきったけど、柴崎コウは、もう一つ届いていない。
この映画の一番気持ち悪いシーンは、窪塚と柴崎の最初の校庭でのシーン。
あそこは、バランスが悪くなったまま、なかなか元に戻らない。あの付近だけこの映画の中で浮いてる気がする。
後半の、ラブホのシーンあたりからすごく好きなんだけど、あそこでも「在日」であることを告白するところの窪塚洋介が見事なのに、やっぱり柴崎コウがイマイチだ。
萩原聖人の自然さ
その後、警察官と話すところは、まあ、映画だし、萩原聖人さんだしってとこで許せる、というか、萩原さんだから成せる技というところもある。
あの人、いきなり出てきて、しかも重要なところで、フラッと出てきて、すっかりこの映画にはまっちゃってるとこがいい。
最後の雪はいらない
ただ、最後の雪はいらない。
もちろん、前フリで、「流れ星」があるけど、「流れ星」見ちゃった、チョーサイアクってだけの方が粋だった。
あれをもう一回、ましてや、最後の最後でもってくるのはちょっと。
ああいうのがあると、直前の停電もイマイチに思えてきてしまう。
もしかすると、最初の校庭のシーンがうまくいかなかったから、ラストシーンに繋がるフリをつけたんじゃないか。
『GO』名言の数々
いろいろ文句は言ってますが、全体的に良かったです。
心に響く名言も多かった。
「円を描け。その外にいる奴らはみんな手ごわい。だからといってその円の中にいるままでいいか?」
「そんな円、ぶっつぶしてやる」
「国境なんか俺が越えてやるよ」
「…なのだ!」
とか、ああいう、クサイセリフをくさくないように喋り演じるのって、この時代は新しいアプローチだった。
最後の校庭で「俺は何なんだ!」ってとこもよかったし、体育館で暴れるとことかも、やっぱり普通の俳優のそれとはちょっと違う。
苦悩する、反抗する、抵抗する若者像を演じる人ってたくさんいたと思うけど、窪塚洋介のあの感じはとても斬新だった。
ミスチルの桜井さんが『GO』ファン
Mr.Childrenの「youthful days」はボーカルの桜井和寿さんが『GO』に影響を受けて、主人公の杉原と桜井の2人をイメージして書いたもの。
窪塚洋介もまた、Mr.Childrenのファンであったこともあって、二人は雑誌の対談を行い、『君が好き』のPVにも出演した。
「GO」評価
★★★★★★☆☆☆☆