鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「ピンポン」感想 窪塚無双時代に宮藤官九郎にスーパーカー

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神奈川県藤沢市が舞台の、松本大洋の漫画。

『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館刊)に1996年から1997年まで連載。

2002年に曽利文彦・監督、宮藤官九郎・脚本で映画化。

動くペコは観てて楽しい

漫画を映画にするのは、小説を映画にするのに比べて、かなり難しいと思う。

文章ではなく、イラストという画が存在してしまっているから、より比較されやすい。

松本大洋の漫画『ピンポン』の大ファンで、先に読んでしまっているので、どうしても原作を観た上での感想にはなってしまいますので、ご了承を。

まず、漫画のファンなので、それが映画化というだけでまず楽しい。漫画の中だけのペコが実際に動くところを見るだけで楽しい。

ストーリーに関しては、かなり原作に忠実につくられてるので、原作を知ってる側からすると、急いでるな感がしてしまうし、はしょってるな感はもう仕方がないところ。

これは他の漫画原作でもそう。

そこは、漫画からか映画からか、最初に観た方がどちらかで大きく変わるわけで、両方観て、両方新鮮な気持ちで楽しめるわけはないので。

見事な制作陣

キャスト

この時代の窪塚洋介の無双感は圧倒的なので問題ないとして、スマイル役のARATAとか、アクマ(大倉孝二)、ドラゴン(中村獅童)と、かなりよかった。ドラゴンは、もっとでかい感じの人がよかった気もちょっとしたけど。

中村獅童さんの役者人生は、ここから開花したと、ご自身でもお話されてましたね。

竹中直人さん以外にあの役をできる人はいなそうだし、オババの夏木マリさんは、ちょっと美人というか、キレイというか、カッコよすぎる感じがした、けど、決しておかしくはなかった。

ただ、ああいう声の出し方をされると、『千と千尋の神隠し』の湯婆婆の影が若干ちらつく。

音楽

音楽もとても良くて、この映画自体そんなに音楽はかからないけど、あのスーパーカーの音楽がとても良かった。

他にも、石野卓球、ブンブンサテライツなど、すごく選曲が良い。

CG制作

それから、この映画は何と言ってもCGの技術。

曽利文彦監督は『タイタニック』のCGアニメーターとして関わった人なので、この当時でもすごい技術に感じる。

ただ、実際はもっと早いよね。さすがに役者の身体がついていかないのか、それとも、CGの技術的にこの時代はここが限界だったのか。両者が映って打ち合いをするシーンの時、もうちょっとスピード感が欲しくなってしまった。

でも、球がない状態で打ってるとは思えないくらい、役者陣も良かったし、CGもすごくうまくいってたと思う。

そして脚本は宮藤官九郎さん。だから荒川良々さんとかもいるんですね。

この時代、宮藤官九郎×窪塚洋介といえば、『池袋ウエストゲートパーク』コンビだ。『GO』もそうか。

名シーン

原作でも一番好きなシーン、ペコの裏面打法「バックハンド」が炸裂するところ、オババの「そこだ」、ここが完全再現で、すごく嬉しかった。

「ピンポン」評価

★★★★★★★☆☆☆