2004年の映画。
トーンとストーリーの見事な融和
正統派、でありながら新感覚。
ああ、いい映画だなあ、という。映画の良さを再認識させてくれるような。
まず色、これは白黒?じゃないですよね。微妙なあのモノトーンがすごくよく合っている。
そしてカメラワーク、アングル、ちょっとした編集演出もみんなよくまとまっていて、この映画を良くするのに一役かっています。タップにしても、うまくストーリーに馴染んでいてあざとくない。
音楽も、普通は何度も、ましてや同じアーティストの曲がかかるとしつこくて、飽きてくる、または音楽提供側と何らかの利権争いがあったな、とか、裏の方を勘繰ったり、たいていは失敗しますが、この映画は失敗していない。
とにかく全体的なトーンが見事。美術さんも素晴らしいし、監督の力も大きい。
演者もなかなか良かったですし、ストーリーも普遍的でかつ無機質なところがいい。と言っても、もちろん単調じゃないし。
全体のバランスが絶妙
全体的にこういう演出をしてるわけだから、ストーリーは、ああいう話がすごくよく合う。
ストーリーが先にあったのか、画が先にあったのかは分かりませんが、例えばモノトーンで1つのホテルだけの話だったら、観てる方は飽きてしまう。だから一見無機質に見えてしっかりした起伏があるストーリー、細部にこだわった美術・セット、はかなさに似た美しさ、スタイリッシュさ、タップや花びらだけについた色など小道具もどれも成功してる。
緻密に、精密に、そして純粋にいい映画を創ろうと制作者達が協力しあった感じがします。
「ホテルビーナス」評価
★★★★★★★★★☆