鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「ALI」感想 モハメド・アリの予備知識は多少必要な映画

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2001年公開のアメリカ映画。

モハメド・アリの予備知識はいる

ただ単にアリの栄光の奇跡を描くんじゃなくて、人間的な部分から、あらやる現実との直面を描く感じは良かったと思う。

だけど、ボクシング、という描写で見ると、どうも中途半端だった。

フォアマンとの戦いはなぜアリが最初わざと打たせているのか、そしてなぜ反撃にうつったのか、よくわからない。

復帰戦も判定で負けてしまうけど、理由がよくわからない。

ブランクからだったのか、調子が悪かったからなのか。

このあたりは、モハメド・アリを知っているアメリカ人ならまだしも、日本人だとそこまで詳しく知らない人も多いと思うので、ちょっとついていけないところもあり。

史実をもう少し詳しく

さらに、この映画の初戦のシーンで相手が「あの薬を飲ませてくれ」なんて言って、若干強くなったりするけど、あれもなんだったのかいまいちわからないまま。結局アリが勝つし。

女性関係もどうもいまいち。別にラブストーリーを期待しているとかではなく、流れがよくわからない。結婚しているのか、交際しているのか、子供ができたのか、離婚したのか。

政治的な面でもそう。マルコムxのあたりや、それから徴兵のあたりも。

有罪判決になったのに、なぜ試合ができるのか?アリが徴兵を拒む理由も、もっと明確にできたはず。

時間経過も、気づいたらアリは32歳になっている。さっきまで22歳だったのに。いつのまに10年経ってたんだ、という。

ザイールのキンシャサの人たちがなぜあそこまでアリにだけ肩入れするのかもよくわからない。

モハメド・アリが知れる映画なら良かった

着眼点、そしてやろうとしているところは間違いなかったんですが、間違いないだけ
あってそのハードルはかなり高い。

肝心なのは現在どういう状態なのか、ということ、そして時間が経過する際、その間に何があったのか、アリはどう変わったのかを、観客にわかるようにしないといけない。

いろんなものが飛び飛びになっているから、人物も、こいつは誰なんだっけ的なことも起こってしまう。どうも希薄というか。

ジョンボイド扮するコーセルとアリの関係もどうも微妙。

でもその微妙な関係の友情はわかるんだけど。でも・・・、という。

アメリカ人でも若い人はそこまで詳しく知らないだろうし、モハメド・アリのことを全く知らない人でも、アリのことを知りながら観れる内容なら良かったかな、と。

「ALI」評価

★★★★★☆☆☆☆☆