医師・オリバー・サックス原作の医療ノンフィクションを元にした、1990年の映画作品。
見やすい内容
監督の見せ方や構図の作り方がよく、とても見やすかった。
例えば、冒頭のシーンはほとんど無声で見せるんだけど、レナードの少年時代、少しずつ障害があらわれてくる流れが、ものすごくよくわかる。
もうあの滑り出しで期待がもてた。入りやすかった。なので、映画もすごく見入ってしまう。
デ・ニーロとロビン・ウィリアムス
この頃はもうデ・ニーロ熟成期。見事。
ロビン・ウィリアムスも相当いい。安定感がある人で、どんな役をやらせても、絶対平均点は上回る。医者とか先生の役が多いような気もするけど。
他の出演者達もすごくうまかったと思います。
泣ける映画ではない
ストーリーに関しては、これは実話なので、一度は奇跡が起こるものの、過酷な現実が
待っていると。ただそれだとあまりに救いようがないということで、少しでも明るさを与えるために、最後、デートに誘うシーンをつけたんでしょう。
あれがひどい、という人もいますが、それは揚げ足をとるようなもの。
これを、泣ける映画と位置づけしちゃうと、話が面倒になる。
別にこれ、感動ヒューマンものじゃないし、そういうドラマ仕立てのお涙頂戴劇じゃない。
もし完全にそっちに持っていくつもりなら、余裕でもっと脚色して、もっと大袈裟な感動劇にすることは可能だったと思う。
終始抑えたトーンで起承転結を見せたのは、実話に基づくものであり、この事実や実態から我々は何を感じ、何を思うかということを考えてもらう、余地を与えたかったからではないか。
泣かせたいんじゃなくて、訴えたかったのだと思う。
薬のシーン
ただ、あの薬をガンガン増やしまくるところは、ちょっと怖かった。
実際はもっと色々研究して、話合って、少しずつ投与していったんだろうけど。
あそこの描写はもしかすると観客には、これでも駄目か、じゃあもっと飲ませろ、飲ませろ、と、ちょっと現代では医療ミスが多々あるので、少し違和感を覚えるシーンかもしれない。
「レナードの朝」評価
★★★★★★★★☆☆