2001年にフランスで製作されたコメディ調のアクションサスペンス映画。
リュック・ベッソン製作、ジェラール・クラヴジック監督、ジャン・レノ、広末涼子主演。
広末涼子の健闘
フランス語が上手く出来てたのかどうかはわからないけど、よくやったと思う。スゴイ。
フランス人と日本人が絡むとどうなるか、日本を舞台にフランス式ドンパチをやるとどう映るかという、非常にいい実例ができたと思う。
フランスと日本の違いは当然
デパートでヤクザをこっそり殴り倒すあたりはコメディとしてよしとできても、ゲーセンでヤクザを殺しまくるジャン・レノのシーンはどうだ。
それから、ゴルフ場に突っ込んでくる車。その後爆発する手榴弾。最後の銀行でのシーン。
例えばああいうシーンの舞台が日本じゃなかったら、少なくとも日本人には違和感なく映るだろう。
撮影も日本は大変
インタビューを見ると、日本の都心は撮影許可をとるのがかなり大変らしく、例えば普通の道路でも、30軒の家に面していたら 30軒全部許可をとらないといけないらしいし、1軒でも拒んだら撮影はできないと言う。
また、とにかく日本は狭く、人口が多いので、都心なんかで撮影をしようもんなら人だかりが出来て大変だと言う。野次馬根性がすごいし、日本人と言えばカメラなわけで、パシャパシャやるから大変だと。
それでも、都心で撮影をしたかったからかなり苦労したようだけど、この辺なんかも興味深い。
もう、こういう映画をやろうと思ったら、とにかく日本は撮影、映画というものに不向きな地形、そして人種ということになってくる。
ましてや、日本を把握した日本人が監督ならともかく、監督はフランス人なわけで、例えば日本人監督がニューヨークでロケをしようとするようなもんなわけで、そう考えてみると、これは大変な功労である。
監督は誰に見せたかった?
次に、この映画は、なぜ、監督は撮ろうとしたのかが気になる。
なぜ、フランス人の父親と日本人の娘で日本を舞台にして撮ろうと思ったのか。
単純に日本に興味があったからなのか。
そして、リュックベッソンや監督は、この映画を誰にみせたかったか、が大きい。
日本人にも楽しんでほしいとも思ってただろうけど、やっぱり母国フランス人に見せたかったんじゃないだろうか。
全然違うんだけども
この映画を観て突っ込む日本人はたくさんいるだろうけど、もしそうだとしたら、我々日本人は少々寛大にならないといけない。
最初の日本のシーン、死体安置所、ジャン・レノと電話するシーンだけど、あのバックに障子はどう考えてもおかしいんだけど、やっぱりあの障子を映したかったんだろうし、フランス人に和を伝えたかったんだろう。
途中、神社を通るシーンだってどう考えたって不自然だけど、あそこも然り。中途半端に京都を出して、清水寺を映すのもそうだ。
でもやっぱり突っ込んでおくと
でもそれでも、日本人として、突っ込むとすると、まず、ワサビを食べた時のリアクションが違う。
吐き気じゃなくて、咳と涙目だ。「おえっ」とはならない。
それから、ヌンチャクを持ったヤクザもありえない。
広末涼子の実家も何か変だし、部屋でかける音楽、ありゃなんだ。和テクノか。
それから、ダンスに行くの!って、ゲーセンでダンスダンスレボリューションってのもどーだろう。
ただこれは、確かにフランスじゃ、クラブよりもゲーセンの方が新鮮なのかもしれない。ジャン・レノの踊りも新鮮だし。
日本とフランスの架け橋にはなった?
しかし色々なことを考慮すると、日本とフランスの架け橋というか、まだ実験段階だと思う。
はっきり言って、作品としてこの映画を観てもまるで面白くないし、この映画のストーリーなんて誰だって考えられるし、最後、ジャン・レノがなぜあの鍵が絵馬を開ける鍵だとわかったのかもわからないし、最後の方適当になってきてねーか、とも思う。
でも、フランス人と日本人の合作として、ジャン・レノと広末涼子を使って、日本を舞台にした映画で、もっと面白く撮れるか、と言われれば、まだいないだろう。そう考えると、あの広末氏のわけのわからん服も、ああしか思いつかなかったのかな、と少しだけ納得できる。
でもまあ、このチャレンジ精神は評価してあげたい。
「WASABI」評価
★★★★★☆☆☆☆☆