鷺谷政明の神映画レビュー

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映画「菊次郎の夏」感想 泣ける北野武監督最高傑作(ネタバレあり)

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北野武監督、脚本、主演。

サントラの久石譲作曲の「summer」も話題となった。

 感想(ネタバレ)

北野武監督最高傑作

『HANA-BI』『ソナチネ』のほうが評価が高いけど、個人的には『アウトレイジ』シリーズを除けば、この作品が北野武監督最高傑作だと思う。

キタノブルーならぬ、キタノグリーンだ。

我々日本人は、こういう映画を撮れる人を誇りに思わなければいけない。

この映画は、脚本や構成だけでなく、あの映像や細かいユーモアも、外国人にはまず撮れない。世界中の誰も真似できない芸当だ。

(以下ネタバレを含みます)

ギャグが普通におもしろい

ビートきよしさんが出てくるとことか、車パンクさせるとことか、だるまさんが転んだ、とか、どれも腹痛くなるほど純粋に笑えたし、感動した。

一番いいのは、やっぱり最後のシーン。「おじちゃん名前なんていうの?」「菊次郎だよ!」って。

ちなみに、「菊次郎」という名前は北野武さんの実の父親の名前。

あの少年もはまり役で、誰がどっから見つけてきたんだろうと思うくらいよかった。

主題曲『SUMMER』は北野武の曲に

そしてなんと言っても久石譲さんのあの音楽。その後CMで使われてたり、いろんなところで使われてるから、この映画を知らない人は、「なんかの車のCM曲だっけ?」とたいてい言う。

また、今ではすっかりたけしさんを表す曲になってしまった。テレビでたけしさんが登場するときや、紹介VTRではよくこの曲が流れる。

北野映画の音楽は久石譲さんが多かったけど、『アウトレイジ』以降はムーンライダースの鈴木慶一さんが多い。監督として、その辺の人選も実に見事。

カンヌを獲れなかった理由

カンヌで上映終了後、全員がスタンディングオベーションで北野監督も驚いて涙出そうになってた。

会場も、今年は『菊次郎の夏』で決まりだろうというムードが漂っていたそうだけど、なんと落選。

一説には、『ザ・フライ』の監督でありこの時の審査委員長だったクローネンバーグが、北野武監督『みんな~やってるか!』で、ハエ男が出てくるシーンをギャグにして撮ったことで北野武監督を嫌っていたから、賞を上げなかったのではないかと。

この結果に頭に来た審査委員の女優・ソフィー・マルソーは、カンヌ映画祭を途中にして怒って帰ってしまったほど。

ただ、日本でもさほど興行良かったわけでもない。

だからいかに映画はプロモーション戦略が重要かというのがわかる。

いい映画だからといって、必ずしもその公開タイミングのときにヒットするとは限らない。

「菊次郎の夏」評価

★★★★★★★★☆