独特の手法というか演出というか撮り方なんだけど、それが見事に成功していて、その独特さもくどくない。
すごくいい空気感を最後まで保ててる。
日常の生活の中にある普遍的なものに、ドラマ性やフィクションをうまく交ぜた映画。女性がニヤニヤしながら一人で観る映画。友人や彼氏、家族と観る映画ではない。
(以下ネタバレを含みます)
感想(ネタバレ)
日本人でも笑えるフランス人のユーモアセンス
冒頭の「好きなものは」「嫌いなものは」ですっかり惹きつけられてしまった。
フランス人って、とても上品で、高貴で、プライドが高いという、どこか時代錯誤の誤った偏見があったんだけど、実際どーだかはともかく、この映画も然り、フランスの映画観てると意外とフランス人のユーモアセンスは悪くない。
よく分からなかった2箇所
でも2箇所だけちょっと「あれっ」って思ったところがある。
1つは、アメリが意気消沈するところ。
あの嫉妬深いおじさんが、「あの2人も今頃気分転換してるんだろう」って言うのを、何で疑いもなしに想像力豊かなアメリが、ストレートに誤解しちゃうのか。手紙を入れたのだって、アメリが頼んだことなわけだし。
その手紙を渡させたことがきっかけであの2人ができてしまったと思い込んでしまったのか。アメリでも恋は盲目といった感じか。
もう1つは、絵描きのおじいさんのビデオを見て、アメリが彼を追いかけに行こうとするシーン。
家を出ると彼が立ってるわけだけども、あのシーン、ドアを開けてすぐにアメリの後ろ頭越しに先に彼の顔を見せちゃっていいのかな。
あそこは、アメリが家を出て「ハッ」とする顔がメインで、その後、アメリは何に驚いたのか、そう、そこには彼がいたからなのです、っていう撮り方でよかったのではないか。
「バン!」っていう効果音をアメリの驚く顔にあわせてつけてるけど、それにはこっちは驚かない。もう彼の顔が直前のシーンで映ってしまっているんだから。
あの順序で見せたいならあの効果音のつけ方は違うし、あのタイミングで効果音をつけたいなら、見せ方の順序が逆だ。
アメリ役のオドレイ・トトゥの完勝
でも、全体的にはほんと楽しかった。もう一回観たい。
最後のカーテン揺れるとこなんかも粋。
この映画はとにかくアメリ役の女優、オドレイ・トトゥのはまり具合がすごい。
この人ありきの映画だ。
『アメリ』ミュージカル化
渡辺麻友を主演に、2018年『アメリ』がミュージカルに。
これに関しては、ぜひ他の素晴らしい批評家のみまさまにレビューはお任せして、ペンを置くとしよう。
「アメリ」評価
★★★★★★★☆☆☆