映画「三度目の殺人」感想 是枝裕和原作による何も起きない究極のサスペンス映画(ネタバレあり)

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是枝裕和監督・脚本・編集による法廷サスペンス。第41回日本アカデミー賞6冠。

福山雅治さんが出てるからかこの映画の原作者は東野圭吾?と思う人がいるらしいけど、これは是枝監督によるオリジナル脚本

ノベライズ本は、ノベライズ作家の佐野晶さんと共著で発売されています。

(以下ネタバレを含みます)

感想(ネタバレ)

是枝監督の「何も起きない演出」のすごさ

自分の中で是枝監督は「何も起きない」演出の最高峰だと思ってる。

もちろん、何も起きない、というのは「ドラマ的ななにか」「映画的ななにか」ということ。

いわゆる起承転結といった分かりやすい流れを作らない。かといって妙な芸術映画やインディーズ映画のように観客を置き去りにはしない。ただ淡々と経過を描く。

でも、「事実は映画より奇なり」というように、本来はその事象を淡々と描くだけでおもしろいものは見せれる。テレビドラマでいうと、橋田壽賀子作品や、倉本聰作品もそうだ。

自然体が一番難しい

でもそれがなかなかみんなできない。やりたくてもできない。

演技にしても「自然体で」「自然に」といわれても、人はなにかを意識してしまう。どこか作ってしまう。それがわざとらしくなり、あざとさになり、観るものは興ざめする。

是枝監督はもともとドキュメンタリー畑出身の人だからか、この「何も起きない」演出がとてつもなくうまい。

そこで起こるものに偶然カメラがあっただけ的な、『海街ダイアリー』も、ある四姉妹の日常を、まるで目撃者のように観ていられる。

女優広瀬すずは是枝監督の力

今もっとも注目されている若手女優である広瀬すずは、是枝監督作の『海街ダイアリー』によって誕生した。

彼女はこの映画の経験(台本なし)が、全ての作品のルーツになっているはずだ。

もし、是枝監督に出会うのがもう少し先だったら、広瀬すずが今ほど売れるのはもう少し先だったと思う

今日本で最高峰の監督

そんな是枝監督が、物語の起承転結が重要であるサスペンスものを手がけるとこうなるのか、と思った。

「これが真実だったのか!だからあそこでこう言ってたのか!」

みたいなことは起きない。まさに是枝流。

制作側も答えは用意していない

この映画のメイキングや是枝監督のインタビューも散々観たけど、一つ確実に言えるのは、「答えはない」ということ。

「三度目の殺人とは、いったい何を指しているのか?」

「結局、三隅(役所広司)は犯人なのか?」

「山中咲江(広瀬すず)は…?あの足は…?」

なにが真実で、なにが嘘なのか、殺人犯である三隅(役所広司)の証言はどこまで本当なのか。いずれも答えはないようだ。監督自身がそう話していた。

今日本で一番乗っている監督

『三度目の殺人』は、第41回日本アカデミー賞6冠。作品賞、監督賞、編集賞、脚本賞、そして助演女優、助演男優賞まで受賞した。

『海街ダイアリー』からの変遷は、今確実に日本でナンバーワンの監督だと言い切ってしまっていい実力の人だと思う。

本作は各界でもかなり評価は高いけど、是枝監督ファンとしては、この作品は好みではなかった。 

「三度目の殺人」評価

★★★★☆☆☆☆☆☆